2019年9月14日土曜日

用地取得18日裁決申請 鉄道高架 沼津市長、正式表明


用地取得18日裁決申請
 鉄道高架 沼津市長、正式表明
 JR沼津駅付近の鉄道高架事業に伴う沼津市原地区の貨物ターミナル移転用地の取得に向けて、頼重秀一市長は13日、市役所で記者会見を開き、県収用委員会に18日、県と共同で未買収用地の権利取得と明け渡しに関する裁決を申請すると正式に表明した。裁決後に地権者が明け渡しに応じなかった場合、強制収用の手続きに移る。
=関連記事28面へ
 買収に応じていない地権者は8人、未買収用地は5334平方㍍。収用委は、関係者の意見を聞き土地の補償金額や明け渡し期限などを審理し、土地取得の可否を裁決する。決定までは平均約7カ月かかるという。
 賴重市長は「市政を預かる立場として土地収用法による用地取得は極めて残念だ」と述べた。その上で裁裁決申請を決断した理由を「(鉄道高架を含む沼沼津駅周辺総合整備事業は)沼津市の発展、原地区をはじめ市西部地区の活性化に大きく寄与する」と説明し、裁決申請後も地権者との任意交渉を続ける意向を示した。
鉄道高架事業を巡っては貨物駅移転用地の地権者の同意が得られない状態が続いたが、2018年に県と市が土地収用法35条に基づく立ち入り調査を実施し、収用手続きに向けて動きだした。賴重市長は3日、川勝平太知事と県庁で面談し、裁決申請の方針を確認していた。
【静新令和1914日(土)一面】

鉄道嵩架裁決申請沼津市長一問一答
「都市づくりの契機に」
 JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う貨物ターミナル移転用地の取得に関し、県収用委員会への裁決申請を正式に表明した頼重秀一沼津市長は13日の記者会見で、事業の必要性やまちづくりの方向性などについて答えた。
 会見での主なやりとりは次の通り。
 ーなぜ鉄道高架事業が必要なのか。
 「まちの閉塞(へいそく)感に危機感を感じている。鉄道高架を含む駅周辺総合整備事業は、魅力ある都市空間をつくる大きなきっかけになる。車中心から人を中心としたまちづくり、再開発とリノベーションによるまちづくりを進めていく。近隣市町との広域連携を図る上でも(市を南北に分断する)ボトルネックが市中心部にあることは良くない」
 ー原地区の将来には、どのようなビジョンを持っているのか。
 「富士市東部地域と連携した広域的なまちづくりを積極的に展開していく。産業の集積であったり、物流の拠点であったり、行政がビジョンを指し示しながら新たな道筋を共有したい。地元住民を巻き込んだ地域づくりを行っていく」
 ー事業完成のめどは。
 「工事開始から13年としている。ただ、JR沼津駅南北自由通路の開通であったり、踏切の解消であったり、工事途中でも高架化の効果は出てくる」
 ー裁決申請後も任意交渉を続ける意向だが、市長自ら説得に出向くつもりはあるか。
 「任意契約が最も望ましく、そのための努力はしたい。ただ、私が行くか行かないかは状況を鑑みて、その都度判断していく」


 「土地守っていく」 地権者反発
 
JR沼津駅付近鉄道高架事業を巡り、沼津市の頼重秀一市長が未買収用地の取得に向けて裁決申請を県収用委員会に行う方針を示したことに、原貨物駅に土地を売らない地権者の会の久保田豊会長は13日、報道陣の取材に対し「いろいろな手段を使って土地を守っていくことに変わりない」と反発した。
 久保田会長は60年以上にわたって自分の土地で農業に従事してきたことを強調し「努力して管理してきた土地だからそう簡単に手放せない。市は駅前が便利になればいいと思っている。何で(駅周辺の)大手町のために犠牲にならないといけないのか」と憤った。
 

土地収用申請中止 共産党が申し入れ
 共産党県委員会と同党県議団は13日、JR沼津駅付近の鉄道高架事業に向けた貨物ターミナル移転用地の土地収用に向けた裁決申請中止を、山村糸子委員長と鈴木節子県議名で川勝平太知事宛てに申し入れた。
 申し入れでは、事業は時代の流れにも地域のまちづくりにも逆行し、公共の利益を名目に土地収用法を適用することはふさわしくないと主張。さらに、住民原告による事業認定の無効確認と土地収用裁決の事前差し止めを求めた訴訟も進められる中、土地収用の申請は容認できないとしている。
【静新令和1914日(土)28面】

土地収用停止求めて知事に申入書 貨物駅移転で原地区地権者や支援者団体


土地収用停止求めて知事に申入書
 貨物駅移転で原地区地権者や支援者団体

 沼津駅付近鉄道高架事業に関連する貨物駅移転用地の地権者や支援者らの団体「鉄道高架を見直し沼津を元気にする会」は12日、土地収用手続きの停止を求める川勝平太知事宛ての申入書を県に提出した。
 市の裁決申請意向受け
 高架事業見直しも求める
 申入書を提出したのは、元気にする会代表の川口公文氏、地権者団体「原貨物駅に土地を売らない地権者の会」会長の久保田豊氏、同会代表代行の殿岡修氏、高架事業と一体的に行われる区画整理の対象となる第五地区富士見町の住民代表の斉藤賢一郎氏。高架事業に対して反対・見直しの立場の市議3人も立ち会った。
 県側は、交通基盤部の戸塚佳寿好理事が知事の代理として書面を受け取った。
 今回の申し入れは、土地収用に必要な手続きである県収用委員会への裁決申請を今月20日までに行う意向を、頼重秀一市長と川勝知事が示したと報道されたことを受けてのもので、知事に高架事業の見直しと申請手続きの停止を求めている。
 その理由として、▽貨物駅移転後の周辺生活環境悪化への対策が示されていない、▽生活上の多大な犠牲を強いられる富士見町住民と行政との対話が閉ざされている、▽郊外大規模商業施設の開業などにより地域経済における重要性がさらに低下する沼津駅周辺に過大な投資を行うのは非合理的である、▽高架事業の費用が市財政を圧迫するーなどを挙げている。
 提出後、一行は記者会見を開いて申し入
の趣旨を説明した。 川口氏は「当初、高架事業を進める理由としてB/C(費用対効果)の数値が挙げられてきたが、B/Cが低下すると、B/Cは事業と無関係と言われ始めた。大きな矛盾がある。人口が減少を続ける状況で、大規模事業を行える余裕が沼津市にあるのか。南北自由通路や橋上駅化といった身の丈に合った開発を行うべきだ」などと語った。
 殿岡氏は「『私の在任中は強制収用をしな
い』という川勝知事の言葉を信じている」などと話した。
 収用裁決申請が行われた場合の対応を記者団から間われると、川口氏は「残る8人の地権者の支援に回る。身体を張ってでも支援を行う覚悟がある。訴訟も継続する」などと答えた。
【沼朝令和1914日(土)号】

2019年9月4日水曜日

沼津鉄道高架 土地収用裁決申請へ 知事と市長が合意




沼津鉄道高架
 土地収用裁決申請へ
 知事と市長が合意
 JR沼津駅付近の鉄道高架事業の前提となる貨物ターミナル移転用地の取得を巡り、頼重秀一沼津市長と川勝平太知事が3日、県庁で会談し、今月中旬にも県収用委員会に未買収用地の権利取得と明け渡しに向けた裁決を申請することで合意した。会談後、頼重市長が取材に応じて表明し、川勝知事も支持する姿勢を示した。収用委への申請は20日が期限で、申請はその直前になる見通し。
 期限直前提出見通し 非公開で約15分間、会談した後、頼重市長は「(収用委への裁決申請の)期限が決まっているので、間に合うように調整し提出する」と述べた。ただ一方でコ最後の最後まで地権者に対してしっかり説明し、任意契約ができるように努める」とも述べ、申請後も交渉を続ける姿勢を強調・した。
 川勝知事は取材に「頼重市長の姿勢を尊重する」とした上で「市長の誠意、皆さんの町のためにやっているのだということが伝わると信じたい」七述べた。
 頼重市長は13日の市議会9月定例会の本会議終了後に、改めて申請への意向を示す予定。川勝知事も17日開会の県議会9月定例会本会議で正式表明するとみられる。
 貨物ターミナル用地の地権者のうち、買収に応じていないのは8月末時点で8人。用地取得率は942%で、計5334平万㍍が未買収となっている。市は申請後も買収に向けた交渉を継続するものの、最後まで取得できない用地については、収用委の裁決を得て強制収用の手続きに踏み切るとみられる。
〈静新令和194日(水)1面〉

裁決申請へ県と市「腹くくる場に」
知事と沼津市長会談 高架、新たな局面
 JR沼津駅付近の鉄道高架事業の前提となる貨物ターミナル移転用地の取得に向け、県と沼津市は3日、土地収用に向けた裁決を県収用委員会に申請することで合意、硬直状態にあった高架事業は新たな局面を迎えた。地道な買収交渉により2017年末時点で33人だった未買収用地の地権者を8人まで減らしたが、今月20日となっている裁決申請の期限が迫り、申請に踏み切る方針を決めた。
 頼重秀一沼津市長が川勝平太知事との会談のため、知事室に入ったのは午後4時半。非公開だったが、知事室の扉を開けたまま向き合い、2人とも厳しい表情で話し合った。約15分後、収用委への申請で合意した。
 収用委への裁決申請は、用地が買収できない場合、最終的に強制収用につながることを意味する。県関係者によると、川勝知事と頼重市長は会談で「裁決申請」という言葉はあえて使わず、事務局が今後の手続きの流れを説明したのに対して、おおむね了承する形で合意したという。
 県と市は、川勝知事と頼重市長の会談を裁決申請へ「腹をくくってもらう場」(県幹部)と位置付け、1カ月以上前から担当者が綿密に打ち合わせしてこの,日を迎えた。事業の反対派や買収に応じていない地権者にも説明を繰り返し、最後まで理解を求めてきたという。
 川勝知事は、未買収用地の地権者が8人になったことについて「よくここまで来た。残りの人(地権者)は固有名詞で分かって
いる人」と指摘。頼重市長は「今日まで反対した方々には、それぞれの立場や思いがある。理解してもらえるように説明するのが責務」とし、任意交渉を続ける姿勢を強調した。
〈静新令和194日(水)4面〉

 沼津高架化収用申請へ
 「大きな歩」「同忌なし」
 関係者、歓迎と非難
 JR沼津駅付近鉄道高架事業の貨物ターミナル移転用地の取得に関し、県と沼津市が土地収用の裁決申請を行う方針で一致したことについて、事業推進に取り組んできた関係者からは歓迎の声が上がった。買収に応じていない地権者は、同意のないままの土地収用の手続きを進める県と市の姿勢を批判した。
 沼津駅の高架化を実現する市民の会の市川厚会長は「長年掛かったが、ここまでたどり着いて良かった。多くの人のおかげと感謝している」と振り返る。沼津大手町商店街振興組合の松田和孝理事長は「大きな一歩。新しい沼津に生まれ変わるスタートになる」と受け止めた。中心市街地の衰退が目立つだけに「まちづくりがどう進むのか期待したい」と将来を見据えた。
 市議会沼津駅鉄道口同架事業推進特別委員会の浅原和美委員長は「頼重秀一市長が真摯(しんし)に地権者と対話してきたことが実を結んだ」と評価する。ただ「反対地権者の思いを否定することはできない。今後も丁寧に訪問を続けなければいけない」と注文した。
 原貨物駅に土地を売らない地権者の会の久保田豊会長は「昔から守ってきた土地を簡単には手放せない。公権力を使って取り上げるというなら、県や市は笑いものになる。(事業認定の無効確認を求めた訴訟とは)別の形で思いを訴えることも考えたい」と憤った。反対地権者の殿岡修元市醒「(巨額の費用がかかる鉄道高架事業を)健全財政で実施できるのか疑問。市民に負担を強いる可能性があるのに、許してはいけない」と述べた。
〈静新令和194日(水)29面〉