市長選に大沼明穂氏
記者会見開き出馬を表明
任期満了に伴い実施される沼津市長選(十月三十日投開票)に、下香貫牛臥在住のIT企業経営者、大沼明穂(おおぬま・あきほ)氏が出馬を表明。十五日、牛臥海岸で出馬表明会見を行った。主要公約として市民参加型市政の確立を訴え、沼津駅付近高架事業については「選挙の争点とするつもりはない」「事業経費などを点検し、進めるなら進める、やめるならやめる」などとし、高架事業に反対する団体や市民グループとは距離を置いた立場であることを強調した。
大沼氏は昭和三十四年(一九五九)年生まれの五十七歳。三小、三中、沼津東高、東京大工学部を卒業。五十九年に情報産業大手の日本IBMに入社し、経営企画や営業部門に勤務した。
平成十四年(二〇〇二年)、退社して東京都千代田区にITベンチャー企業「ユビキタス・ビジネステクノロジー」を創業し代表取締役となった。十八年からは親の介護のために沼津に戻り、沼津に住んで東京の仕事場に通う日々を続けている。
市長選へは無所属で出馬し、政党や政治団体の推薦は受けていない。「政治色のない市民として選挙に臨む」と主張している。
会見で大沼氏は、出馬の動機について、沼津の疲弊や停滞、スピード感の無さを挙げた。その原因は市民不在の市政運営にあると見て、市民の市政参加を進めるまちづくりを実現するため、市長選に挑戦するという。
大沼氏は主要公約として、①市民参加型市政、②産業誘致、③子育て支援や高齢者福祉の充実、④周辺市町との関係強化による観光業の活性化、⑤自然・歴史・文化を生かしたまちづくり、⑥鉄道高架事業の再点検の六力条を掲げる。
①では情報技術を活用して市の財政状況などを分かりやすい形で市民に提供し、市民との対話によって市政運営の方針を定めていくことなどを訴える。
②ではIT産業など成長分野の産業を沼津に誘致し、既存産業と調和させて沼津全体の産業振興を図る。
③では子ども医療費の無料化、市立病院機能の沼津駅前移転の実現を目指す。
④では「沼津市は伊豆半島のお兄ちゃん、三島市は次男的存在。沼津の発展が伊豆全域の発展をリードする存在にならなくてはならない。現在は点となっている各地の観光産業を連携させて面として機能させる」などと述べ、その実現のために沼津三島環状道路などの幹線道路整備ビジョンを国や県に提案していくという。
⑥について大沼氏は、市民が事業への単純な賛成と反対で二分されているのではなく、賛成派市民の中にも事業費負担などで不安を泡いている人がおり、反対派市民も一律反対ばかりではないと指摘。既存の対立軸を超えた再議論と、東京五輪による建詔費高騰などの状況を考慮した事業費の再検証が必要であると主張した。
今後、大沼氏は第三地区の地縁や出身校の同窓生などを足がかりに市民全体への浸透を図るという。
市長選には現在二期目の栗原裕康市長も出馬を表明している。栗原市長も第三地区在住。
大沼氏の会見は屋外で行われ、報道関係者だけでなく一般の地域住民も参加する異例の形式で行われた。そのため、質疑の時間には報道関係者よりも先に地域住民が挙手して質問する場面もあった。
主なやりとりは次の通り。
1(地域住民)出馬動機に「沼津の停滞」
とあるが、何をもって.停滞だと考えているのか。
大沼氏 「先の見えない高架事業によって、他の何事もストップしている。これが沼津に停滞をもたらしていると考えている。既存の枠組みを超えた議論で対立軸を整理し、賛成反対双方の相互理解を作り上げたい」
ー(地域住民)主要施策に防災が入っていない。防災をどう考えているか。
大沼氏「非常に難しい問題だ。まずは津波防災だが、六〇㌔以上ある沼津の海岸線に防潮堤を建設することは果たして妥当か。避難塔や避難ビルの活用が重要だと考えている」
ー(地域住民)浜岡原発についてどう考えるか。
大沼氏「地震災害を考えると、浜岡原発の沼津への影響は甚大。再稼働してほしくない」
ー(地域住民)前回の市長選の低投票率をどう思うか。
大沼氏「これまでの市長選とは異なる選択肢を示すことで市民の関心を高めたい。高架事業の『はい・いいえ』のみが問われるような選挙にはしたくない。若い人を巻き込むことも重要だ」
ー(報道関係者)高架事業反対派の支援を受けているのか。
大沼氏「私はこれまで反対派の人とも賛成派の人とも話をしてきている。どちらの声も聞くという立場だ。そこが現職とは違う」。
【沼朝平成28年7月16日(土)号】
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