用地取得18日裁決申請
鉄道高架 沼津市長、正式表明
JR沼津駅付近の鉄道高架事業に伴う沼津市原地区の貨物ターミナル移転用地の取得に向けて、頼重秀一市長は13日、市役所で記者会見を開き、県収用委員会に18日、県と共同で未買収用地の権利取得と明け渡しに関する裁決を申請すると正式に表明した。裁決後に地権者が明け渡しに応じなかった場合、強制収用の手続きに移る。
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買収に応じていない地権者は8人、未買収用地は5334平方㍍。収用委は、関係者の意見を聞き土地の補償金額や明け渡し期限などを審理し、土地取得の可否を裁決する。決定までは平均約7カ月かかるという。
賴重市長は「市政を預かる立場として土地収用法による用地取得は極めて残念だ」と述べた。その上で裁裁決申請を決断した理由を「(鉄道高架を含む沼沼津駅周辺総合整備事業は)沼津市の発展、原地区をはじめ市西部地区の活性化に大きく寄与する」と説明し、裁決申請後も地権者との任意交渉を続ける意向を示した。
鉄道高架事業を巡っては貨物駅移転用地の地権者の同意が得られない状態が続いたが、2018年に県と市が土地収用法35条に基づく立ち入り調査を実施し、収用手続きに向けて動きだした。賴重市長は3日、川勝平太知事と県庁で面談し、裁決申請の方針を確認していた。
【静新令和1年9月14日(土)一面】
鉄道嵩架裁決申請沼津市長一問一答
「都市づくりの契機に」
JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う貨物ターミナル移転用地の取得に関し、県収用委員会への裁決申請を正式に表明した頼重秀一沼津市長は13日の記者会見で、事業の必要性やまちづくりの方向性などについて答えた。
会見での主なやりとりは次の通り。
ーなぜ鉄道高架事業が必要なのか。
「まちの閉塞(へいそく)感に危機感を感じている。鉄道高架を含む駅周辺総合整備事業は、魅力ある都市空間をつくる大きなきっかけになる。車中心から人を中心としたまちづくり、再開発とリノベーションによるまちづくりを進めていく。近隣市町との広域連携を図る上でも(市を南北に分断する)ボトルネックが市中心部にあることは良くない」
ー原地区の将来には、どのようなビジョンを持っているのか。
「富士市東部地域と連携した広域的なまちづくりを積極的に展開していく。産業の集積であったり、物流の拠点であったり、行政がビジョンを指し示しながら新たな道筋を共有したい。地元住民を巻き込んだ地域づくりを行っていく」
ー事業完成のめどは。
「工事開始から13年としている。ただ、JR沼津駅南北自由通路の開通であったり、踏切の解消であったり、工事途中でも高架化の効果は出てくる」
ー裁決申請後も任意交渉を続ける意向だが、市長自ら説得に出向くつもりはあるか。
「任意契約が最も望ましく、そのための努力はしたい。ただ、私が行くか行かないかは状況を鑑みて、その都度判断していく」
「土地守っていく」 地権者反発
久保田会長は60年以上にわたって自分の土地で農業に従事してきたことを強調し「努力して管理してきた土地だからそう簡単に手放せない。市は駅前が便利になればいいと思っている。何で(駅周辺の)大手町のために犠牲にならないといけないのか」と憤った。
土地収用申請中止 共産党が申し入れ
共産党県委員会と同党県議団は13日、JR沼津駅付近の鉄道高架事業に向けた貨物ターミナル移転用地の土地収用に向けた裁決申請中止を、山村糸子委員長と鈴木節子県議名で川勝平太知事宛てに申し入れた。
申し入れでは、事業は時代の流れにも地域のまちづくりにも逆行し、公共の利益を名目に土地収用法を適用することはふさわしくないと主張。さらに、住民原告による事業認定の無効確認と土地収用裁決の事前差し止めを求めた訴訟も進められる中、土地収用の申請は容認できないとしている。
【静新令和1年9月14日(土)28面】
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