健康文化タウンの構想
県が原の反対地権者らに示す
沼津駅付近鉄道高架事業に関する川勝平太知事の「決断した」発言が憶測を呼ぶ中、難波喬司副知事ら県担当者八人が十二日、桃里公会堂を訪れ、同事業の見直しを求める地権者ら十五人と話し合った。席上、プラサヴェルデ設計者の長谷川逸子さんが、地権者が貨物駅の代替案として希望する「健康文化タウン」について、自ら描いた構想案を説明し、意見交換した。
同席の副知事知事発言に言及
最終判断は「まだ」の認識
話し合いは非公開で行われたが、終了後、難波副知事は質問に答え、構想案に対する地権者らの考えは知事に伝えるとするとともに、貨物駅移転に対する地権者の意見は反対だけだったと話した。
また、古い歴史と文化を持ち、自然豊かな現在の地に住み続けたいとの地権者らの思い、行政によるこれまでの対応への不信感を認めながら、地権者らの考えを知事に伝え、最終判断の材料にしたい、とした。
さらに、今回は地権者が貨物駅移転に、なぜ反対するのかを聴いたもので、用地交渉のために来たのではなく、地権者との認識の違いをこれから埋めていきたいとの考えを見せた。
これに対して、原貨物駅に土地を売らない地権者の会代表代理を務める殿岡修さんは、構想案に関し、貨物駅を整備した南側に健康文化タウンを、という説明があったことを示しながら、現地には、そのようなスペースはないと答えたこと、同会としては貨物駅移転には反対であることを話したという。
この一方、長谷川さんが提示した案に対しては「良い案」だとし、「我々が、どういうものを造りたいかを分っている」と評価するとともに、知事の貨物に対する考えは全く変わっていないと思うが、いろいろなプレッシャーがあって困っているのではないかとの配慮を見せた。
同会の加藤益久事務局長は「長谷川さんは、貨物駅と健康文化タウンが両立できると期待を込めた案を持ってきたが、本心は共存できないと考えているのではないか」と見る。
長谷川さんが構想を描いた絵を地権者に提示したのは今回で三回目。前回まで貨物駅移転用地内に配置された健康文化タウン関連の各施設は今回の案では貨物駅移転用地南側に全て移されていた。
知事の「決断した」発言について難波副知事は「まだこれから。最終的判断を出すために、いろいろ考えている」との認識を示し、知事の発言を捉えて「推進に舵を切った」とする見方は取らないようだ。
また、加藤事務局長も「素晴らしい絵だが、貨物駅とは共存できない」と、構想案をきっぱりと否定する一方で、知事が近々、新しいJR貨物の社長と会った時の話次第で知事の考えが見えてくるとして、知事発言を、必ずしも推進の決断とは捉えていない。
その上で、鉄道高架事業は沼津駅に南北自由通路を造ってからの利用状況を見て検討すればいいのではないか、との考えを示した。
今回の構想案提示の話し合いには女性八人も出席したが、「こんな(貨物駅を整備した南側に健康文化タウンを造る)話は論外。貨物駅が来るなら(貨物駅予定地)南側の土地は売らない」「沼津の人口減少が著しい中、税収も減る。合併できなかったのも周辺市町が沼津の財政を危惧してのものだ」などと厳しい意見が出た。
(沼朝平成26年8月14日号)
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