2014年11月2日日曜日

貨物駅「実力で阻止」

沼津鉄道高架事業
 貨物駅「実力で阻止」
 反対派県の予定地撮影拒否
 JR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐり、難波喬司副知事は1日、事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転に反対している地権者らと市内で会談した。県側が貨物ターミナルのコンピューターグラフィックス(GG)の製作用に現行計画の建設予定地の写真を撮る意向を伝えたが、反対派は「貨物駅建設のための調査。実力で阻止する」と拒否した。
 川勝平太知事が県議会9月定例会で原地区に退避機能を主とする貨物ターミナルを整備する方針を表明してから、副知事と反対地権者が面会するのは初めて。会談は非公開。難波副知事と県職員、地権者、地域住民ら約30人が出席し、約3時間行った。
 出席者によると、難波副知事が鉄道高架の必要性などを話したという。会談後、難波副知事は反対地権者たちと話し合いを続けるとともに、より多くの住民を対象に貨物ターミナルについて説明していく方針を示した。
 一方、反対地権者は知事に譲歩案として提示した荷役設備のない待避線について「ターミナルは実質貨物駅。県が待避線の話を利用したことに憤慨している」とし、譲歩案を撤回したという。反対側の出席者の一人は「知事の一方的な発言で信頼関係は崩れた。鉄道高架の公益性を知事自ら説明するべき」と訴えた。

(静新平成26112日朝刊)

2014年10月1日水曜日

貨物駅用地取得へ全力・貨物駅受け入られず

沼津鉄道高架事業

 待避線機能を強調 県議会知事答弁
 県議会9月定例会は30日、代表質問を行い、自民改革会議の鳥沢由克氏(裾野市)とふじのくに県議団の林芳久仁氏(静岡市清水区)が質問した。川勝平太知事は鳥沢氏の質問への答弁で、JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物ターミナル整備に関連し、「必要な土地を提供していただけるよう沼津市と共に全力を尽くす」と述べた。
 原地区への貨物ターミナル整備には、地元地権者の中に反対意見がある。知事は「沼津に新ターミナルが整備されていれば、首都圏有事の際に西からの救援物資輸送の拠点として重要な役割を果たすことができる。公益性の高い事業と思い至った」と述べ、整備後も「実態として荷物の上げ降ろし(荷役)は本当に少ない」と待避線としての機能が主であることを強調した。
 原地区での対応として、鉄道で分断された南北の自由往来を確保する立体横断施設を先行整備することを説明。「生活環境への影響には万全の対策を行い、理解をいただけるよう話し合いを続ける」とし、住民の希望を尊重するよう努める考えを示した。
 答弁後の記者団の取材に対し、貨物ターミナル用地の強制収用の可能性については「まずは心合わせが大切」と明言を避け、「(貨物の)上げ降ろしのシステムが整備されることによって、いざという時に人の役に立てることに、地元の方も理解をいただきたい」と述べた。
(静新平成26101日朝刊)


 「貨物駅受け入れられず」
 沼津鉄道高架事業 反対地権者らが会見
 JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転に反対する「原貨物駅に土地を売らない地権者の会」と「郷土を愛する会」は30日、市役所で会見し、川勝平太知事が原地区に整備する方針を示した貨物ターミナルに対して「実質的な貨物駅は受け入れられない。土地は売らない」と強調した。
 会見には各団体の関係者と、9月に知事や難波喬司副知事と会談した原地区の女性5人も出席した。60代の女性は「知事に期待していたのにあまりにも落差のある発言でがっかりした」と話し、30代の女性地権者は「沼津市が膨大な借金を背負うことに反対」と事業見直しを求めた。
 二つの会は29日に「信頼を裏切られた」などとする知事宛ての抗議文を提出した。地権者の会の殿岡修代表代行は知事が防災面から貨物ターミナルの必要性を述べたことに「災害時に必要というなら、今の貨物駅を強化するべき。防災というまやかしの言葉で貨物駅を造ることは許されない」と語気を強めた。
(静新平成26101日朝刊)


2014年9月30日火曜日

貨物駅問題で知事に抗議文

 貨物駅問題で知事に抗議文
 原地区地権者と郷土を愛する会
 原貨物駅に土地を売らない地権者の会(殿岡利治代表)と郷土を愛する会(西原正通会長)は二十九日、連名で川勝平太知事に抗議文を提出した。文面概要は次の通り。
 原貨物駅移転に関わる定例記者会見(二十四日)と県議会九月定例会(二十五日)の知事発言を知り、知事の変質ぶりに驚くとともに、知事就任以来積み上げてきた我々との信頼関係を一挙に損なうものとして強く抗議し発言の撤回を求める。
 「自分の任期中には強制収用しない」「沼津には荷役扱い量から判断して貨物駅は不要」という知事の信念から、我々との信頼関係は始まった。そして、再三にわたる現地視察や地権者との対話など誠意ある行動に敬意を払ってきた。
 一方、我々は知事の問い掛けに応じ「ふじのくに健康文化タウン」構想を提案、引き続き全ての地権者を対象にしたアンケート調査を実施し、「貨物駅より健康文化タウンを」という結果を報告した。
 また、県のPI勉強会に積極的に参加するとともに、知事との面談にその都度応じ、「健康文化タウン」と共存できるギリギリの譲歩案として「何役設備のない待避線」を提示し、知事の誠意に応じてきた。
 にもかかわらず、今回の知事発言には信頼を裏切られ憤慨している。多額の税金と二年間を費やしたPIの成果は一体どこへ行ったのか。
 知事が取り合わなかった待避線案が、JR貨物の社長・会長との面談後、手の平を返したように「ありがたいことに待避線まで譲ると言われた」となり、「荷役作業の出来る設備のある新駅だが、実質上の待避線」などの言辞は、誰が聞いても詭弁に過ぎない。
 「有事の際に荷物取り扱い機能を発揮できる」貨物駅を必要とするならば、原西部地区に貨物駅を造るのではなく、鉄道高架事業を見直して現在の貨物駅を「最新式の貨物ターミナル」とするほかない。工期も経費も縮小できる。
 「貨物駅は原西部地区へ移転」という知事の変節を修正しない以上、知事の信用は失墜し、我々は原貨物駅に土地は売らないし、移転計画の元凶である鉄道高架事業の見直しを要求していく決意を新たにした。
(沼朝平成26年9月30日号)

 反対地権者らが抗議文
沼津・原地区貨物駅移転 知事宛てに提出
 JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転に反対する「原貨物駅に土地を売らない地権者の会」と「郷土を愛する会」の代表者が29日、県庁を訪れ、川勝平太知事に宛てた連名の抗議文を提出した。
 知事は25日の県議会9月定例会で、原地区に貨物ターミナルを整備する方針を表明した。
 これに対し、両会は抗議文で「積み上げてきた信頼関係を一挙に損なう」と抗議し、発言の撤回を求めた。知事が地権者側の譲歩案を基に「平時は待避機能が主」と説明したことについては「ギリギリの譲歩案として『荷役設備のない待避線』を提示した」「『実質上の待避線』などの言辞は誰が聞いても詭弁(きべん)」などと主張している。
 地権者の会の加藤益久事務局長は「荷役機能を持つなら貨物駅であり、私たちは納得できない。知事には考え直してほしい」と話した。
(静新平成26年9月30日朝刊)



2014年9月26日金曜日

沼津鉄道高架 知事所信表明

原に最新式貨物ターミナル
 沼津鉄道高架 知事所信表明
 県議会9月定例会

 県議会9月定例会は25日開会し、川勝平太知事は県政の諸課題に対する所信表明で、JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴い、県が沼津市やJR貨物と協議し、沼津市原地区に最新式の新貨物ターミナルを整備する方針を示した。現在の貨物駅機能の原地区への移転に知事が正式に言及したのは初めて。
 関西地方の貨物ターミナルの視察やJR貨物首脳との会談を通じて、「最新式の効率的かつ静かに荷役作業のできるターミナルが整備されれば、首都直下型地震など国の有事に際して沼津が重要な役割を果たすことができることを確信した」と述べた。
 新貨物ターミナルについて、コンテナを本線上で列車からホームに積み降ろしができる着発線荷役(E&S)方式を取り入れる案を示した。その上で「平時においては待避機能を主とする」と指摘し、騒音対策などを含め地元住民に配慮する考えを明らかにした。
 一方で「有事の際に貨物取扱機能が発揮できるよう、平時でもわずかとは言え、貨物取扱を非常時に備えて行っていなければならない」と述べた。
 同地区に鉄道で分断された南北の連絡通路となる立体横断施設を先行して整備する方針もあらためて示した。
(静新平成26925日夕刊)

 沼津鉄道高架 現行計画で事業進展へ
  県と沼津市 用地取得は不透明
 川勝平太知事が25日、県議会9月定例会でJR沼津駅付近鉄道高架事業に伴い、沼津市原地区に貨物ターミナルを整備する方針を表明したことを受け、県と沼津市は現行計画に沿って事業を進展させる考えでいる。ただ、事業に反対する地元地権者から同意が得られるかは不透明なままだ。
 川勝知事は所信表明で、原地区に最新式の貨物ターミナルができた場合、首都直下型地震などの有事に「重要な役割を果たす」と指摘。一方で」平時には(列車の)待避機能を主とする」と、反対地権者側が譲歩した待避線に近いことを強調した。
 線路をまたぐ立体横断施設の設置に向けた調査費200万円も9月補正予算案に計上。東海道線で分断されている地区内の南北通行確保へ検討を始める。
 だが、肝心の用地取得が進まなければ、事業の進展は望めない。県によると、計画の貨物ターミナルの用地118㌶のうち、買収が必要なのは93㌶。これに対し、市がこれまでに買収を済ませたのは69㌶と74%にとどまっている。
 県幹部の一人は「まずは知事の考えに理解がいただけるよう、住民に説明を尽くすしかない」と話す。

 「大きな前進」「心強い」
 地元市長、県議ら歓迎
 川勝知事が県議会9月定例会でJR沼津駅付近鉄道高架事業に伴い、沼津市原地区に現在の貨物駅の機能を移転し、貨物ターミナルを整備する方針を示したことについて、市長や市選出県議ら事業推進に期待を寄せる地元関係者からは「大きな前進」「心強い」と歓迎する声が相次いだ。
 沼津市の栗原裕康市長は「鉄道高架は相当な犠牲を払ってもやるべき。推進するには貨物駅の移転が不可欠で、知事の発言は市にとって大きな前進になる」と強調する。沼津商工会議所の市川厚会頭も「事業の一日も早い着工に向けて心強い。知事の行動と決断に敬意を表する」とし、同市などと連携して事業推進に最大隈の努力をすることを約束した。
 市選出で県議会議長の多家一彦氏(自民改革会議)は「長年の懸案が一気に片付く方向性が見えた。鉄道高架のスタートの年になれば」と期待を寄せる。自民改革会議代表の杉山盛雄氏は「知事が腹を固めたと感じた」と述べた上で「知事と原地区の関係者とのイメージの違いの折り合いをどう付けるか」と課題を挙げた。
 ふじのくに県議団の曳田卓氏は「知事が自ら関西の貨物ターミナルを視察し、認識を改めたのはいいこと」としながらも「地権者の理解が得られるかは非常に不透明だ」とも加えた。
 公明党県議団の蓮池章平氏は「対話と合意形成をスピード感を持って進め、これまでの努力が無駄にならないよう結果に結び付けてほしい」と要望した。

 地権者は反発 「事実上の貨物駅」
 川勝知事が、沼津市原地区に待避機能を主とする最新式の新貨物ターミナルを整備する方針を示したことを受けて、原地区への貨物駅移転に反対する地権者などからは「ターミナルは待避線ではなく、事実上の貨物駅だ」と反発する声が上がった。
 地権者の1人で、原貨物駅に土地を売らない地権者の会の殿岡修代表代行は「私たちの思いを無視した内容」と憤る。殿岡代表代行らは5月に知事と会談した際、旅客列車と貨物列車の時間調整に使う貨物列車用の待避線を認める譲歩案を提示している。「提示したのは一切、荷役作業がない待避線。わずかでも荷役がある以上は貨物駅」と強調する。
 地権者の会の加藤益久事務局長は「荷役作業があれば、騒音や生活環境への悪影響など懸念は無くならない。知事を信頼してきた地元の気持ちを考えてほしい」と訴える。
 高架事業見直しを望む市民団体・さわやか沼津2012の松下宗柏代表は「貨物駅移転と高架事業は一体の話。人口が減少する中、市の財政を考えれば高架事業どころではない」と指摘し、今後も事業見直しを求めていく考えを示した。
(静新平成26926日朝刊)

沼朝平成26年9月27日記事
高架事業新たな局面に
 知事が「原に新ターミナル」発言
 解脱川勝平太知事が二十五日、「新ターミナル」という表現で原地区に新貨物基地を設ける考えを示したことで、沼津駅付近鉄道高架事業は、新たな局面を迎えることになった。
 知事の発言は、県議会定例会初日冒頭、県政の課題について所信を表明する中で行われた。
 知事は、まずプラサヴェルデのグランドオープンに言及。沼津駅駅北地区について「にぎわいは予想したとおりであり地域再生のきっかけになるものと確信している」との認識を示した上で、「沼津市が、県東部の拠点として、さらに発展していくためには、現在の貨物駅跡地の有効活用をはじめとする、沼津駅周辺のまちづくりを着実に進めていく必要がある」と規定。ここで「現在の貨物駅跡地」という表現を使い、現貨物駅の移転に踏み込んだ。
 続けて、関西の貨物駅ターミナルを視察したこと、JR貨物の社長、会長と面談したことに言及。
 「これらを通じて、阪神淡路大震災の際、その前年に整備された姫路貨物ターミナルが、救援物資の輸送拠点として大きな役割を果たしたことを知った」とし、「これに照らせば、沼津の地に最新式の、効率的かつ静かに荷役作業のできるターミナルが整備されれば、現在想定されている首都圏での直下型地震などの災害が発生した場合、まさに国の有事に際しては沼津が重要な役割を果たすことができると確信した」と述べた。
 従前、「貨物駅の必要性」に疑義を唱えていた立場からは大きな方向転換だ。ただ、新貨物駅については知事なりの考えがあるようで、次のように述べた。
 「ここで強調したいのは、沼津の新ターミナルは、平時においては待避機能を主とするもので、しかし、有事の際に貨物取り扱い機能を発揮できるよう、平時においても、僅かとは言え、貨物の取り扱いを、非常時に備えて行っていなければならない。その際、地元の方々が懸念されている騒音等、生活環境への影響に関しては、万全の対策を尽くしていく」
 舵は新貨物駅設置に切りつつ、内容については、これまで言われている計画とは趣を異にするものを示唆した。
 現在の貨物駅の取扱量が一四万トンだと言われているのに対して、現行計画によると、新貨物駅は最大四〇万トンと考えられている。
 知事は、自らが示す新ターミナルについて、基本的には、あくまでも待避線であり、貨物の取り扱いについては「僅かとは言え」と表現。計画されるような、現行を大幅に上回るような機能は必ずしも必要ではないとの考えをにじませた。
 この裏にあるものは何か。現状で新貨物駅用地の取得率は予定の七四・四%。三割近くが不足する中で、計画された規模の施設整備が困難であるとともに、知事は自分の任期中は強制収用しないことを重ねて明言している。一方で、地元からは「待避線」なら受け入れる余地はある、との妥協を引き出している。
 この両者を足して出る答えは何か。新ターミナルは、与えられた用地で規模を縮小して設けるということか。
 知事の表明は次のように続く。
 「当地は千本松原をはじめとする自然と、白隠禅師ゆかりの寺院など歴史を感じられる緑豊かなところであることから、地元の皆様と検討を進めてきたグリーンヴィレッジを柱にした桃源郷づくりを沼津市と協力して進めていく」
 「このような中で、原地区においては、まずは鉄道により分断されている南北地域間の連絡の利便性と防災機能を向上させるため、平時には富士山が見える展望台にもなる歩行者用の立体横断施設を先行して整備することとし、その検討経費を補正予算に盛り込んだ」
 知事の思惑は、どこにあるのか。新貨物駅の規模が縮小されるようなことになるとすると、JR貨物の理解を得られるのか。また、貨物を取り扱うとなると、待避機能だけならという地元の反発を受けることは必至。
 具体的な話が進むにはまだ課題は多いようだ。
(沼朝平成26927日号)



2014年9月25日木曜日

知事会見 貨物駅の移転 理解促進期待

知事会見 貨物駅の移転 理解促進期待
「重要な基地として最適」 沼津鉄道高架
 JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転について、「(必要性が)必ず地元の方々にも分かっていただける」と述べ、現段階で移転に反対する地元地権者の理解が進むことへの期待感を示した。
 地元住民やJR貨物などとの話し合いを積極的に進めてきたと強調。「ありがたいことに待避線まで譲ると、(反対地権者の)有力者が言われた。それをベースにJR貨物に語り掛けた」と述べた。住民の希望を基に開始した原地区での立体横断施設設置の検討などは「私にとってはこれ以上できないアクション」とした。
 JR貨物幹部2人との会談では、移転する貨物駅が貨物の取り扱いが少ない実質的な待避線で、首都直下型地震などの大規模災害時に拠点となることを確認したと説明。「重要な基地として最適というのは、説得力があるものだと思っている」と述べた。

(静新平成26925日朝刊)

2014年9月23日火曜日

沼津鉄道高架事業 知事、JR貨物会長会談

原移転「実質的に待避線」
沼津鉄道高架事業 知事、JR貨物会長会談

 JR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐり、川勝平太知事は22日、JR貨物の石田忠正会長と都内の同社本社で初めて会談した。同事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転について、知事は会談後の取材に「実質、(貨物の積み降ろしが少ない)待避線ということが、はっきり分かった」と述べ、周辺環境への影響が限定的であることや防災拠点としての必要性を強調した。
 会談は非公開で約1時間、2人で意見を交わした。知事によると、石田会長は沼津の貨物駅の機能について言及。知事は「(石田会長から)荷物の積み降ろしがほとんどないが、積み降ろしのシステムを持っていないと有事には役立たないという話があり、確かにその通りだ」と理解を示した。
 現計画で移転先とされる原地区での周辺地域の環境への影響については「懸念が払拭(ふっしょく)されるように努力を傾注すると(石田会長が)言っていた。実際に荷物の積み降ろしは少ないので、原に持っていくのは待避線」とし、「貨物駅というよりも有事の災害拠点駅と考えた方がいい」と強調した。
 知事は8月に関西地方の貨物ターミナル駅を視察した上で、同社の田村修二社長と会談。首都直下型の大規模地震などの際に防災拠点となる貨物駅の必要性を確認したとしていた。

 川勝知事の動向「現行計画推進か」
 沼津市長が認識
 沼津市の栗原裕康市長は22日の定例会見で、JR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の動向に対して、「報道から伺う限り」と前置きした上で「(現行計画の)貨物駅を原地区に移転し、鉄道高架事業を完成させるという方向で動いているように感じる」との認識を示した。
 知事は高架事業の方向性について7月下旬に「決断した」と語ったが、決断内容を明言せずに、関西地方の貨物ターミナル駅の視察や、沼津市原地区への貨物駅移転に反対する同地区の女性との会談などを行っている。
 栗原市長は知事の行動について「精力的に動いてもらっていて敬意を表したい」と評価。その上で高架事業に関しては「(原地区の反対地権者との話し合いが)円満に解決し、事業が推進することを強く望んでいる」と述べた。

(静新平成26923日朝刊)

2014年9月14日日曜日

4次総修正で沼津市議会全協

4次総修正で市議会全協
 市当局のまちづくりの考えただす
 市議会は十二日、全員協議会を開き、第4次沼津市総合計画(4次総)の一部修正について当局から報告を受け協議した。修正案では岡宮北土地区画整理事業が進んでいる「北部地区」と、ららぽーと進出計画がある「北西部地区」の二つについて、中心核「沼津駅周辺地区」との間で「公共交通
連携強化」することを図示している。修正案については今月下旬から十月下旬までパブリックコメント(市民意見募集)が行われる。
 新たな地区配置を図示
 文言追加の意味など尋ねる
 全協の冒頭、栗原裕康市長は、第4次沼津市総合計画が平成二十三年度から三十二年度までのものであり、計画策定後に起き
た東日本大震災の被害を考慮した津波対策などが計画に盛り込まれていない点を指摘。
 また、西武百貨店の撤退や、予定されたものではあったがプラサヴェルデのオープン、市立病院東側へのららぼーと出店計画、東名高速道路あしたかスマートインターチェンジ建設の決定なども計画策定時の想定とは異なる点を挙げた。
 続いて、若林直毅企画部長が、今回追加修正する計画素案について説明。社会環境の変化を踏まえたコンパクトシティのあり方と、交通環境の変化に伴う柔軟な土地利用についての内容を追加する方針であることを話した。
 これを受けて協議に入ると、鈴木秀郷議員(市民クラブ)は、「総合計画と基本計画を途中で見直すのは節目の五年でやってきた記憶はあるが、二十七年間の議員生活でも、そのほかの年度に急きょ行う変更は初めて」だとした上で、コンパクトシティの考え方について、「(当局の修正説明によるものが)今ある第4次総合計画にはなかったのか、あったとしたら、どう変わったのか」と質問。
 若林企画部長は、市街地の広がりから市の六割の人口が住む沼津駅を中心としたエリアを「都市的居住圏」とし、「北部地区」や「北西部地区」も含めて都市的居住圏の重点構成要素とすることなど、都市機能の再構築を示したことを説明。コンパクトシティの考え方は従来と変わらないが、「市が目指すコンパクトシティを、より明確に示した」とした。
 次に、城内務議員(公明党)は都市的居住圏のエリアを質問。
 若林企画部長は東が大岡駅周辺、西が市立病院付近、南が我入道地区、北が岡宮北土地区画整理事業を行っている地域まで広がる円の内側であることを回答。
 城内務議員が、修正案に「環境との共生を図りながら」の文言が新たに加えられている点に言及。その考え方を尋ねた。
 若林企画部長は「過度に自動車交通に依拠しない公共交通の整備も必要」だとの考え方を示した。
 川口三男議員(共産党市議団)は「庁内各課各部での調整を図り、意思統一が図られた上で、この場が設けられているのか」とただした。
 若林企画部長は「意見調整した上で、この案が作られた」と答えた。
 川口議員は津波浸水想定地区にかかる第二、第三、第四の各中学校区を挙げ、そこを都市的居住圏として人が住むことを奨励する地域としていることについて考えを尋ねた。
 若林企画部長は「(都市的居住圏の中でも)津波の危険性が少ない地域に居住圏を設ける」と回答。
 川口議員は「津波が来ると言われている所を、なぜ都市的居住圏にしているのか」と重ねて尋ねた。
 若林企画部長は「人口の六割が集積し、一定の都市的機能が整備されている」ことなどを挙げた。
 川口議員は「私の言っていることがなぜ分からないのか分からないが、今後、(市議会定例会一般質問などで)質問していく」とする一方、都市的居住圏の説明に「都市的サービスを享受できる便利な居住空間」という文言があることを取り上げ、「都市的サービスとは、どんなことをイメージして文言にしたか」と質問。
 若林企画部長が、「高次都市機能」という言葉を使って答弁すると、川口議員は「高次都市機能とは、どんなものをイメージしているのか」と、重ねてただした。
 さらに川口議員は、若林企画部長による答弁を受けた後、「『都市的サービス』『高次都市機能』。これらの言葉は、これまでも言われてきた。総合計画を修正する中で(元の計画と)何が違うのか」と繰り返し質問したが、答弁に具体的なまちづくりをイメージできるものはなかった。

(沼朝平成26914日号)