高架見直しへ考え発表
反対の市民団体が記者会見
沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の「決断」発言に対して、さまざまな受け止め方がされる中、原貨物駅に土地を売らない地権者の会(殿岡利治代表)、郷土を愛する会(西原正通会長)、さわやか沼津2012(松下宗柏代表)の関係者は二十八日(県庁で記者会見し、それぞれの考えを発表した。
このうち、地権者の会と愛する会は、大要次のような五項目を提示するとともに、地権者の会事務局長の加藤益久さんが県議会への思いについて語った。
五項目の一は、知事が再三にわたって明言している「自分の任期中には強制収用はしない」という基本姿勢に基づいて知事や県当局者との信頼関係が築かれており、この信頼を裏切らないでほしいというもの。
次に、貨物駅移転予定地の景観の素晴らしさを指摘しながら、沼津御用邸の「農園」として誉れ高い地であり、貨物駅の移転は貴重な社会資源を破壊することになり反対であること。
三は、「健康文化タウン」、知事の「グリーン・ヴィレッジ」構想の早期実現には全面的に協力するが、貨物駅と共存することはできないので、移転受け入れを前提とした案に応じることはできないこと。
四は、「待避線のみならば受け入れる」という譲歩案はギリギリの妥協であり、県当局の誠意ある回答を待っていること。
最後に、今後とも、知事や県当局との信頼関係を尊重し協議を継続していく考えであること。
また、加藤事務局長は、六月県議会を傍聴した感想を披瀝。まず、同議会を前に県議六十八人には、高架事業について、県全体の問題として勉強と検証をし慎重審議してもらうように陳情したことを踏まえ傍聴したが、現地調査も沼津市の財政状況も調べないままの質問で、ただ「早期決着」を促すものにすぎず、落胆と情けなさを感じずにはいられなかったという。
一方、さわやか沼津は、総工費約八百億円、工期十五年という長期大型プロジェクトは現状では不適切であり、事業費も工期も大幅に縮小、貨物駅移転の必要もない「橋上駅と自由通路」、原地区への「健康文化タウン」建設を提案。
また、大型公共事業は当初の予算通りにいくものではなく、人件費の高騰、工期の延長などにより事業費が何倍にも膨らむため、一沼津市の問題としてだけでなく、県全体のこととして考えるべきであることを指摘。
さらに、少子高齢化、人口流出の縮小社会に向かう現状に触れながら、沼津市は事業基金が払底し起債に頼らざるを得ないこと、労働人口の減少もあって市民一人当たりの負担が増えるとともに、市民サービスの低下が懸念されることを挙げ、見直しを訴えた。
(沼朝平成26年7月29日号)
沼津駅高架
「市民意識把握し判断を」
見直し求めるグループなど 知事に意見交換提案
JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転に反対する地権者の会や事業見直しを求めている市民グループ「さわやか沼津2012」のメンバーが28日、県庁で記者会見し、事業を推進する方針を表明した川勝平太知事に対して「市民の意識を把握し、判断をしてほしい」などと要望した。
知事は25日の定例記者会見で、市民が沼津駅周辺の南北の往来を自由にするには「高架が一番効果的な方法だと考えている」と述べた。原地区に東海道線をまたぐ南北の歩道橋を先行整備し、貨物駅の扱いについてはJR貨物のトップと協議する意向も示した。
これに対し、メンバーらは「大多数の市民が高架はいらず、(沼津駅の)橋上化などによる南北自由通路を望んでいる」と主張。無作為抽出で選んだ市民50人との意見交換を提案し、「何らかの形で市民の声を確認してほしい」と訴えた。併せて、栗原裕康沼津市長に、市長発議による事業の可否を問う住民投票の実施を求めた。
また、原地区への歩道橋整備は、貨物駅移転とセットならば認められないとの姿勢をあらためて強調した。
さわやか沼津の松下宗柏代表は「鉄道高架は沼津を衰退に導く事業。知事は特定の政党や団体の意向に振り回されず、泥をかぶってでも計画を変更してほしい」と話した。
(静新平成26年7月29日朝刊)
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