沼津商工会議所臨時議員総会
正副会頭ら人事案を承認
沼津商工会議所は、臨時議員総会を二十九日、ホテル沼津キャッスルで開き、議員六十一人が出席。二十二日に開かれた定例常議員会で総会に上程することが決まっていた会頭、副会頭選任などの役員人事案を承認した。
市川厚会頭、岩崎一雄、秋元一壽の両副会頭、木戸英寿専務理事が留任し、紅野正裕副会頭(沼津信用金庫理事長)、後藤行宏副会頭(ゴトー会長)が新任。
今年は任期満了に伴う議員改選の年で、既に百四十人の議員が選ばれ、その中から四十六人の常議員がこの日選任された。新たな事業所からの七人と同一事業所の中で交代する三人のほか三十六人の顔ぶれは変わらない。任期は十一月一日から三年間。
留任が決まった市川会頭は「多くの会員の支援をいただきながら、東部地域の中心的会議所として職員ともども努力していく」とあいさつした。
報告事項では、既に再編が決まっている十部会について部会長、副部会長人事が示された。この新編成も十一月一日に始まる。
このほか、新会館建設協力金の承諾金額が一億九千百六十万円で、分割払いを決めている事業所もあり、入金済み金額が一億六千四百二十三万円。不足額五千八百四十万円については、引き続き、会報を通じて協力を求めることが説明された。
新会館は現在、二階から四階までの鉄骨組みに着手し、十二月には四階までの鉄骨が組み上がる予定。
新任の紅野副会頭は「市川会頭をはじめ、皆さんの指導のもとに商工会議所と地域経済の発展のために微力ではあるが努力する」、また、後藤副会頭も「私も微力ながら、皆様の協力を得て商工会議所のために働きたい」と、それぞれあいさつした。
《沼朝平成25年10月31日(木)号》
2013年10月31日木曜日
2013年10月29日火曜日
知事発言広がる波紋 地元「責任持ち決断を」
知事発言広がる波紋
地元「責任持ち決断を」
県が事業主体のJR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の発言が波紋を広げている。住民参加の合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)で四つの代替案がまとまり、今後は知事の方針提示の判断が焦点になる。ただ、知事は「現場を知る職員に任せる」として、提示時期の明言も避けている。地元からは「知事の責任で決めるしかない」と早期決断を迫る声が強まっている。
県は11月4日にPIの手続きを監視する有識者のPI委員会の最終会合を開き、PI委は11月中旬に知事に意見書を出す見通し。
▼協議の長期化懸念
代替案は大きく分けて高架化を実施する2案と実施しない2案となった。いずれの案も国や沼津市、JR貨物などと県との調整は避けられず、関係者は「協議に時間がかかる可能性もある。早急に方向性を絞って関係者に示さなければ、事業がさらに遅れる」と危機感をあらわにする。
▼職員に全権委任
知事は25日定例記者会見で4案の受け止めを問われ、「まだ見ていない。(PI委からの)報告を受けてと思っている」と述べるにとどめた。一方で、P1に関わってきた複数の職員の名前を挙げて「全権を委任する」と繰り返し、「落としどころの見通しも持っていると信頼している」などと強調した。
県は県議会で、「PIの結果を踏まえて意思決定者の知事が年内に方向付けする」と説明してきただけに、知事と担当部局の認識の違いも出ている。
▼「公約通りに」
こうした知事の姿勢に地元は困惑を隠さない。経済団体の関係者は知事が6月の知事選でも「鉄道高架は進める」などと訴えた経過を挙げ「事業の推進を明確に打ち出し、公約を守ってほしい」と求め.る。栗原裕康沼津市長は24日の定例記者会見で、「速やかに判断を」と要請した。
PIの勉強会に参加してきた男性(50)は「賛成派、反対派とも今の中途半端な状態でいいと思っていない。両者の溝が埋まらない以上、最後は知事の政治判断しかない」と主張し、「今回の議論が生かされなければ、地元住民を冒とくすることになる」と指摘した。
《靜新平成25年10月29日(火)夕刊》
地元「責任持ち決断を」
県が事業主体のJR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の発言が波紋を広げている。住民参加の合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)で四つの代替案がまとまり、今後は知事の方針提示の判断が焦点になる。ただ、知事は「現場を知る職員に任せる」として、提示時期の明言も避けている。地元からは「知事の責任で決めるしかない」と早期決断を迫る声が強まっている。
県は11月4日にPIの手続きを監視する有識者のPI委員会の最終会合を開き、PI委は11月中旬に知事に意見書を出す見通し。
▼協議の長期化懸念
代替案は大きく分けて高架化を実施する2案と実施しない2案となった。いずれの案も国や沼津市、JR貨物などと県との調整は避けられず、関係者は「協議に時間がかかる可能性もある。早急に方向性を絞って関係者に示さなければ、事業がさらに遅れる」と危機感をあらわにする。
▼職員に全権委任
知事は25日定例記者会見で4案の受け止めを問われ、「まだ見ていない。(PI委からの)報告を受けてと思っている」と述べるにとどめた。一方で、P1に関わってきた複数の職員の名前を挙げて「全権を委任する」と繰り返し、「落としどころの見通しも持っていると信頼している」などと強調した。
県は県議会で、「PIの結果を踏まえて意思決定者の知事が年内に方向付けする」と説明してきただけに、知事と担当部局の認識の違いも出ている。
▼「公約通りに」
こうした知事の姿勢に地元は困惑を隠さない。経済団体の関係者は知事が6月の知事選でも「鉄道高架は進める」などと訴えた経過を挙げ「事業の推進を明確に打ち出し、公約を守ってほしい」と求め.る。栗原裕康沼津市長は24日の定例記者会見で、「速やかに判断を」と要請した。
PIの勉強会に参加してきた男性(50)は「賛成派、反対派とも今の中途半端な状態でいいと思っていない。両者の溝が埋まらない以上、最後は知事の政治判断しかない」と主張し、「今回の議論が生かされなければ、地元住民を冒とくすることになる」と指摘した。
《靜新平成25年10月29日(火)夕刊》
2013年10月25日金曜日
沼津・東椎路大型商業施設計画
沼津・東椎路大型商業施設計画
「ららぽ-と」優先交渉 地権者団体選定
大型商業施設の進出が計画されている沼津市東椎路の市街化調整区域の地権者団体「街並を創造する会」は24日までに、進出を希望している複数の企業の中から、最初の交渉相手とする企業として「ららぽーと」を運営する三井不動産を選定した。
同会にはこれまで、三井不動産と「ラザウォーク」を運営するユニーの2社から具体的な企画書の提示があり、他の2社からも進出の意向が示されていた。同会役員会は、地権者全体の意向や地元企業の活用策、土地の農地転用手続きの協力態勢などを基準に検討し、「ららぽーと」と優先的に交渉を進めていくことを決めた。
同会によると、三井不動産が提示した「ららぽーと」の店舗面積は約6万平方㍍。テナント数は約200店、駐車台数は約3500台。3千~4千人の雇用を創出するという。
同会の深沢臣夫会長は「本年度中に具体的な交渉を詰め、5年後には開店できるようにしたい」と話した。
三井不動産の広報担当者は「計画の実現に向けて、地権者、行政、地元住民と協力し、魅力的な施設を作りたい」とコメントした。
《靜新平成25年10月25日(金)朝刊》
2013年10月24日木曜日
沼津駅Pl 4代替案に絞る
沼津駅Pl 4代替案に絞る
勉強会最終会合 住民らおおむね了承
県は19日、JR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる住民参加型合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)として、住民から意見を聞く勉強会の最終会合を沼津市内で開いた。これまでの意見を踏まえて県が集約した4種類の代替案に対し、住民らがおおむね了承した。県は有識者の助言などを受け、11月中旬にも川勝平太知事に4案を推奨案として提出する方針。
代替案は「沼津駅付近の高架化」「沼津駅橋上駅」に分かれた。このうち高架化する場合に必要な貨物駅の移転先は「原地区」と「近くの駅に統合」の2パターンを示し、橋上駅の場合は「駅の南北を結ぶ立体道路と自由通路」と「自由通路のみ」を整備する各案となった。
PIは当初、代替案を一つに絞り込む予定だったが、高架事業の推進派と反対派のそれぞれの住民の意見が最後までまとまらなかった。参加した住民の一人は「推進派、反対派が自由に意見を言い合える場を県に設けてもらえたのはありがたかった」と評価したものの、「事業が進んだという実感は湧かない」と指摘した。
賛否双方「早く決断を」
「これ以上、結論を先延ばしにしてはならない」。JR沼津駅鉄道高架事業で県が19日に沼津市で開いたPIの最終勉強会で、高架事業の推進派と反対派の双方の住民から、川勝平太知事に事業の方向性を早急に決断するよう求める声が相次いだ。
高架事業をめぐり、県は年内に方向性を示す方針を示していた。だが、意思決定者の川勝知事は11日の定例記者会見で「物理的(時間の)問題ではない」と、判断の時期にこだわらない姿勢を示した。
知事発言に対し、貨物駅移転予定地付近の住民でつくる三区JR貨物駅対策協議会の鈴木正祥さん(73)は二体どこまで延ばそうというのか。(住民を)もて遊ぶようなことはしないでほしい」と苦言を呈す。沼津商工会議所青年部監事の清水英一郎さん(50)も「過去の沼津市長選でも争点になって推進派が勝ってきた。先延ばしによってまちづくりに与えるマイナスの影響は大きい」と指摘する。
勉強会の開催は今年1月から延べ12回に上る。毎回3時間近く住民が意見を交わした。沼津青年会議所顧問の杉沢教人さん(38)は「これまでの時間を無駄にしてほしくない。遅くとも年内に結論を出してほしい」と訴える。一方、鉄道高架化を見直す沼津市民の会の川口公文さん(66)は「知事の判断を待つより、住民投票で決めた方が、市民の声も反映されるし、時間もかからない」と訴えた。
《靜新平成25年10月20日(日)朝刊》
事務局提出の最終4案を協議
沼津高架PIプロジェクト合同勉強会の最終回となる第7回が十九日、沼津労政会館で開かれ、メンバー四十四人のうち三十九人が出席し、事務局が四つに絞った代替案について協議。石田東生PI委員会委員長(筑波大教授)と、県交通基盤部の長島郁夫部長ら沼津高架PIプロジェクト推進本部の幹部らが議論の様子を見守った。
四つの代替案は、事務局が十四を七つにし、さらに絞ったもので、計画通りに鉄道高架を実施した場合の二案と、鉄道高架を行わずに再開発する二案。四案の概要は次の通り。
【鉄道高架を実施する場合】代替案1 沼津駅周辺総合整備事業をさらに発展させ、原地区全体を新たな拠点地区として位置付け、貨物駅を活用して原地区西側ゾーン全体を整備する。総事業費は一、八七七億円。(以下、総事業費は全て概算)
代替案2 貨物駅を近傍駅に統合し、沼津駅周辺総合整備事業を発展させて都市機能のさらなる集積を図り、原地区には貨物駅を整備しないで種地(既に買い上げた貨物駅用地)を活用して西側ゾーン全体を整備する。総事業費は一、九三五億円。
【鉄道高架を行わない場合】代替案3 五〇~一〇〇㍍の幅広自由通路と橋上駅を整備し、車両の南北交通対策としては三つ目ガードと中央ガードに線路を跨ぐ二本のオーバーブリッジを建設する。原地区は貨物駅を整備せず、種地を活用して西側ゾーンを整備する。総事業費は一、三二七億円。
代替案4 自由通路と橋上駅で課題解決を図り、原地区全体を新たな拠点地区として位置付け、貨物駅を整備しないで種地を活用して西側ゾーンを整備する。総事業費は六九九億円。
以上の四つの代替案に示された原地区における開発は同じもので、土地区画整理事業や南北道路の新設、公園・グラウンド・スポーツ施設整備、新駅の建設、道の駅整備などで総事業費は三〇七億円。
以下省略。
《沼朝平成25年10月24日(木)号》
2013年10月23日水曜日
大型商業施設進出に対する意見書
中心市街地活性化基本計画事業継続要望書
(大型商業施設進出に対する意見書)
平成21年12月に沼津市が国から認定された沼津市中心市街地活性化基本計画は、向こう5か年の中心市街地のビジョンであり、今日まで、その計画に基づき沼津市および中心市街地活性化協議会等と連携しコンパクトなまちづくりを目指し努力してきたところであります。
しかし、沼津市立病院東側約11ヘクタールへの大型商業施設の進出は、中心市街地活性化法の大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画を根源から揺るがすものであります。
この沼津市が策定した基本計画は平成27年3月までとなっており、郊外へ大型商業施設の出店を容認する場合には引き続き国から認定されるのは非常に厳しい状況であります。
基本計画の終了は、今後、中心市街地に対し国からの支援が非常に厳しくなる他、現在、取り組んでいる様々な中心市街地の活性化事業に物質的にも精神的にも大きな影響が生じるところであります。
よって沼津市においては方針を転換せず中心市街地活性化基本計画の国へ向けての積極的な事業継続を切望いたします。
このようなことから、沼津市商店街連盟としては大規模商業施設の進出については反対いたします。
沼津商議所 市川会頭を再任 副会頭2人新任
沼津商議所 市川会頭を再任
副会頭2人新任
沼津商工会議所は22日の常議員会で、任期満了を迎える正副会頭人事を内定した。会頭に市川厚氏(79)=石川建材工業相談役=を再任し、新任副会頭には、沼津信用金庫理事長の紅野正裕氏(60)とゴトー会長の後藤行宏氏(61)を選任することを決めた。29日の臨時議員総会で正式決定する。任期は11月から3年間。
現在の副会頭は、税理士法人イワサキ代表社員の岩崎一雄氏(73)と秋元水産会長の秋元一寿氏(66)を再任する。桃中軒会長の宇野統彦氏(68)と山中兵右衛門商店社長の山中利之氏(66)は退任する。木戸英寿専務理事(65)の再任も内定した。
《靜新平成25年10月23日(水)朝刊》
2013年10月20日日曜日
中心市街地活性化と郊外開発 両立は可能か、藻谷ゼミで考える
中心市街地活性化と郊外開発
両立は可能か、藻谷ゼミで考える
中心市街地の活性化について商業者、市民の目線から考えようという藻谷ゼミがアーケード名店街のSIDAM事務所で三回にわたって開かれ、日本総研調査部主席研究員の藻谷浩介氏が講師を務めた。昨年に続くゼミで、今回は郊外への大型店出店が計画されている折、これまで行政などが進めてきた中心市街地活性化(中活)のための道筋はどうなるのか、コンパクトシティ形成との整合性はあるのか、藻谷氏の解説、他都市の事例紹介などとともに、参加者からの質問に藻谷氏が答え、あるいは参加者が意見発表しながら、沼津があるべき、まちづくりの方向を探った。
国が目指すコンパクトシティ
都心回帰への支援拡大へ
第1回ゼミ主に藻谷氏が他都市の例に触れながら、また数字も挙げて解説する形で進められた。
藻谷氏は、はじめに「大型店を造ったらこうなる、造らなかったらこうなるというデータがある」としながら、なぜ中活が必要か、なぜ国が進めているのかに言及。
地方都市は高齢化が進み、都市政策は大きな転機を迎えている。このため、鉄道の駅を中心に半径一㌔の中に人と都市機能を集める。
財政難の時代、人が集まっている所に重点的に投資しようというのが国の考えで、現在の中心市街地活性化法(中活法)では、全国どこの都市もうまくいっていないため、これを、さらに強化し、病院や商業施設の中心部への誘導をしやすくしようと、固定資産税の優遇など抜本的な見直しを行い、コンパクトシティ実現への支援策を拡充する方針でいる。
これについて藻谷氏は「国主導で全国に広げる手段に転換するもので、国も本腰を入れてやる気だ」と指摘。それに対して商業施設を増やしていったら、どうなるのか。「コップに入れた湯は熱いが、こぼして広がった瞬間、一気に冷めてしまう」
店を増やしても売り上げは減る。売り場を薄く広げた分、地域の活力は落ちる。市全体の雇用も減っていく。それは国の商業統計、雇用統計が示す数字に表れている。
では、なぜコンパクトシティは進まないのか。参加者に問い掛けると、「金も時間もかかる」「(やろうとしても)意見が割れる」「どこ(の都市)でも同じようなものになってしまい(金太郎あめ)、おもしろくない」といった声が上がった。
これに対して藻谷氏は、どんなものがあれば金太郎あめにならないか、それぞれの都市が持つ象徴的なものの必要性を指摘した。
かつて沼津にも城があったが、完全になくなってしまった。熊本市のように、城を残して市街地が発展し、鉄道の駅は市街地から離れている都市もあるが、沼津のように鉄道の駅が市街地にあって機能している都市は珍しいという。
そして、沼津にとってのシンボリック(象徴的)なものとして狩野川を挙げた。「まちのど真ん中を、街並みのすぐ横を大きな川が流れている所なんて全国にはない」
さらに、全国二十万規模の都市で沼津は、どの程度のレベルか、藻谷氏は「全国平均よりましだが、現状に手を打たないので平均に向けて下降中」だとし、中京圏の三十五万都市、北海道東部の中心的な二十万都市の衰退の様子をスクリーンに映しながら、「このまま放置すれば沼津の十年後の姿」だと指摘。
「その地域のやる気のなさ、意識の低さがそうさせてしまう」とし、北関東のある都市の例を挙げ、大型店一つの出店を契機に既存の商業施設が閉鎖されていった状況を説明した。その一方で山口県周南市や長野県飯田市における、まちづくり会社の取り組みを紹介。特に、飯田市の場合は、コンパクトシティなどという考え方のない時代、税理士や建築士が中心となって「まちづくりカンパニー(まちカン)」を立ち上げた。行政の支援はなかったが、裏で応援してくれる市の有力幹部がいて、定年退職を迎える前には後進を育てていた。
まちカンはゼネコンを入れることなく、設計から全てを自分達でやり、市街地の再開発に成功。そのほかにもミニ開発や空きビルの再開発を手掛け、藻谷氏によれば、「国は飯田を見てコンパクトシティを言い出した」のだという。
各地で都心づくりに努力
民間主導でまちづくり会社
藻谷氏は講義の後、参加者に発言を求めた。
「郊外にショッピングモールなどが出来ると、消費者にとっては便利になる。そうした消費者行動と中活を一緒に考えることはできないか」との質問に対して、藻谷氏は「(大型施設の建設によって)沼津と清水町を合わせて売り場面積は増えたが、売り上げは減り、雇用も減った。全国的に商業施設を造る動きが止まった。イオンなど、以前は全国に出店を続けたが、少し前までとは動きが違う。沼津への出店が言われている大型店は、既存の大型店から客を取れると算段している。『後出しジャンケン』だ。誰かが便利になっても誰かが不便になる。郊外型店によって市街地がだめになるだけでなく、郊外も市街地と同じになる。都市が衰えているところに、都市の実力以上に店を出すと、その実力以上に店を減らすことになる」と応じた。
さらに、「郊外に大型施設を造るということは、基盤整備が必要となり、それだけ税金を投入することになる。下水道整備には多額の費用を要するが、補助金がほとんど。だから、国は郊外に施設を造りたくない。郊外に施設を造るなら、これだけ税金がかかるということを納税者に開示しなければならない。大型施設が、ただで出来るわけではなく、事業者側がどのくらい負担し、行政が幾ら出すのか、これをはっきりさせなければならない」との考えを示した。
第2回ゼミ前回ゼミでも紹介された山口県周南市のまちづくり会社「まちあい徳山」(周南市は徳山市を中心に市町合併で二〇〇三年に誕生した)や、神奈川県小田原市の合同会社「まち元気小田原」、石川県金沢市の「金沢商業活性化センター」について説明。
前二者は民間によるもので、いずれも土地の有力者の二代目が代表を務め、まちあい徳山は三十代、四十代が中心になって運営している。金沢は行政によるものだが、十数年の歴史があり、やはり若手が実働部隊となって動いているという。
このことから藻谷氏は、まちづくりには若い世代の働きが必要であることを指摘。「いなければ人材を育てる」ことを求めた。
また、飯田市のまちカンは、市街地のごく一部しか再開発していないが、「市が関わると(公平性の見地から)全般的に見なければならない」(藻谷氏)のに対して、民間がやることによって集中的に投資ができた。
解説の後、参加者から意見や質問を募ると、前回同様、「郊外に大型店が出来る話を聴いてうれしかった。障害のある人にとっては、身近に便利な施設が出来ることはありがたい。中心市街地の活性化と郊外開発の両方ができないか」といった意見があった。
藻谷氏は「障害のある人が町の中で、ごく普通に暮らせることが大切」だとして、千葉県佐倉市で高齢者のグループホームと学童保育施設が一緒に運営されている事例を挙げ、「市街地でも可能」だと指摘。
これに加えて、同ゼミ主催者側代表が市街地活性化と郊外開発の両立に関して、「法律的にはできるかもしれないが、財政を考えると無理。中心部(の基盤整備)は民間投資、行政投資共に既に終わっているが、郊外開発に必要となる行政コストを考えると福祉に回すことができなくなる。投資の仕方を間違えると弱者にしわ寄せがくる」として、中心部への投資と郊外開発への投資で費用の違いを数値で示した。
また、中心市街地活性化について検討、研究する組織として「中心市街地活性化協議会」があり、中心的な役割として「タウンマネージャー」がいるが、藻谷氏は「タウンマネージャーは、それにどっぷり浸かった人でなければ務まらない」として、専門的に担当する人材の必要性を説いた。
「中心市街地の活性化には賛成だが、どうしたらいいか、となると分からない」という意見には、「東海大学が駅の裏にでもあれば若い人が集まったのだが」とし、この点については前回ゼミで「三島には先見の明がある。駅のすぐ北側に大学が出来、高校もある。教授達も(東京などから)通って来られる」と指摘していた。
藻谷案として「空いている場所に、かつて(中心部から)出て行ったものを一つずつ戻す。市役所機能や、思いもかけないものに『広場を戻す』というのがある」として新潟県長岡市の例を紹介。
同市は市役所を長岡駅前に造り、「シティホールプラザァオーレ長岡」と名付けた。駅とは歩道橋でつながり、議場はガラス張り。施設中央にイベント広場があり、奥にはアリーナ。幼稚園児らの遠足の場所ともなり、人が集まるようになった。
藻谷氏は「行政がやる気にならなければできることではない」と語った。
第3回ゼミこの回では、まず中心市街地活性化基本計画について市の担当者が解説。同計画では「定住人口」「交流人口」の確保を目指し、九十二の主要な取り組みを掲げたことなどを説明した後、参加者からの質問や意見を受け付け、それに対して藻谷氏がコメントやアドバイス。
最初に発言した男性は文化と歴史の視点から、まちづくりを考えることが大切だと主張。次の男性は「中心市街地が、どんどんつまらなくなっている。人口を増やそうという政策が目に見えてこない。イベントで一時的な人集めはしているが、人口を集めていくだけの魅力がない。教育、医療など他と違うものが無ければ人は集まって来ない」と手厳しい。
藻谷氏は「計画は、市が実践するものとして策定された。しかし、数値目標や期待はあっても実践のための手段、実行方法がない。『(にぎわう)沼津港と連携』と言っても、誰が、どうするかがない」と課題を指摘する一方、沼津の中心部には全人口の十人に一人が住んでいることに対して、「全国平均では五十人に一人だということからすれば驚き」だとして沼津の潜在的な力を示唆。
「計画が機能するには実行部隊がいなければ実現できない。現状認識だけでは前に進まない。かつて沼津は、そんなに大きなまちではなかったが、住民が頑張って大きくなってきた」などとして、行政にも市民にも前向きな姿勢を求めた。
《沼朝平成25年10月20日(日)号》
2013年10月12日土曜日
知事「時期こだわらず」またも先送りか?
知事、時期こだわらず
沼津の鉄道高架方向付け
「年内」を事実上修正
川勝平太知事は11日の定例記者会見でJR沼津駅付近鉄道高架事業の方向付けについて「物理的時簡(の問題)ではない」と述べ、判断の時期にはこだわらないとの姿勢を示した。
住民の合意形成を目的としたパブリックインボルブメント(PI)の手続き基、11月中旬に終わる見通し。県はこれまで「P1の検討結果を踏まえて地元の沼津市とも協議し、早急に事業の方向付けを行う」とし、年内にも方向性を示すと説明していた。知事の発言は事実上へこれを修正した。
知事は「賛成、反対の市民が自由活発に意見を言える状況をつくった」とP1の成果を挙げ、「結果を受け、現場で信頼を得た職員に全権を委任し、関係各位に精刀的に働き掛ける仕事をしてもらう」と説明した。その上で、「現実的な動きが出てくるので、それを見ながら私の方にも必ず出番が来ると期待している」などと述べた。
《靜新平成25年10月12日(土)朝刊》
2013年10月9日水曜日
沼津鉄道高架で県交通基盤部長「知事が方向性」
沼津鉄道高架で県交通基盤部長
「知事が方向性」
JR沼津駅付近鉄道高架事業について、県の長島郁夫交通基盤部長は8日の県議会建設委員会で、住民の合意形成を図るために進めているパブリックインボルブメン下(PI)の終了後、「(川勝平太)知事が判断して方向付けをしていく」と明言した。杉山盛雄氏(自民改革会議、沼津市)の質問に答えた。事業をめぐって2日の一般質問で、多家一彦氏(同)が「知事自身が判断し、本気で進める気があるか」とただしたが、知事は答弁せず、森山誠二副知事が登壇していた。
この場面を「異例だった」と指摘した杉山氏に対し、長島部長は森山副知事が交通基盤部長時代から事業に携わっていることを踏まえ、「経過も含めて丁寧に説明したいという中で、あのような(副知事の答弁という)形になったと思う」と述べた。その上で、事業の方向性は「PIの検討結果を受け、最終の意志決定者、つまりは知事がしっかり決断していくことになっている」と強調した。
PIは19日に住民らによる最後の勉強会を開き、推奨案のとりまとめを予定する。その後、有識者のPI委員会が11月中旬に知事に報告書を提出する。
《靜新平成25年10月9日(水)朝刊》
2013年10月3日木曜日
沼津の認識 佐藤賢治(東熊堂)沼朝投稿記事
沼津の認識 佐藤賢治(東熊堂)
沼津駅前の西武百貨店は昭和三十二年六月、「沼津で東京のお買い物」のキャッチコピーで開店し、全国西武百貨店の最古参級だった五十五年の歴史に幕を閉じたのが今年一月三十一日。
全国ブランドの百貨店として、もうこれ以上の施設は沼津にはできないと思われる本館は取り壊される。新館は浜松のパチンコ店が入り、今年度中に改装するとのこと。報道では地下から二階までがパチンコ店になるとか。
コンパクトシティの名の下に全国の都市は駅(都市の核になるもの)を中心に、郊外に移り住んだ住民を集め、学校、病院、商店、職場、公共施設を配置し、徒歩、自転車で用を足せ、一極集中、効率的な都市機能による運営を目指している。
瀞岡県が主催している沼津高架PIプロジェクトの勉強会でも、沼津駅周辺の構成要案、問題点、改善点、将来構想等々、多角的に、住民目線での勉強会を開いているが、地元の行政当局である沼津市の参加がない。
県が参加を促し、PI委員からは「市の方針が分からない」と苦言を呈されても、市長も職員も完全に無視している。
栗原裕康市長は市長に初当選直後、鉄道高架事業に対して、県が主体であり県の方針に従う、と表明していたのに、二期目になり、百人以上いる地権者、市民との対話、説明をせず、強制収用をしない県に責任がある、と市が主体であるような発言をしている。
そんな沼津市で、時代の流れに逆行するような東椎路の市立病院東側一画への大型商業施殴進出の計画。一極集中を目指した高密度都市、高次都市空間、住環境の改善、行政サービスの効率化と都市間競争が始まっているのに今さら、郊外に大型商業施設の構想とは。
人口が増え続け、商業施設が不足、都市中心地では対応できない状態といった、商圏拡大への対、応に困っている沼津の姿は、西武百貨店の撤退で夢物語となった。
各地で見られる駅前シャッター通りは沼津も同じ。人口がピークだった平成七年の二一六、四七〇人から平成二十五年八月一日には、一九六、三七五万人と二万人減。平成四十七年には一五六、○○○人台。年少人口(○~一四歳)は平成十七年の一三・六%から二十二年の一二・六%、四十七年には九・一%に。
一方で、老年人口(六十五歳以上)は平成十七年の二〇・八%から二十二年に二四・五%、四十七年には三六・五%。確実に人口が減り、老齢化人口が増える見込み。
東椎路への大規模商業施設建設は時代に逆行し、認識のなさを示すものだが、市当局は大型店の出展に歓迎の立場。市民も大型店が出来れば便利で良いかもしれないが、町全体の商業構成には、ゆがみが生じる。
人口が減り、若者が減り、消費が減り、縮小社会に向かう中での郊外への大型商業施設は、沼津駅周辺の商店街をはじめ、商店街の縮小に拍車がかかる。
その最大の被害者はイシバシプラザ・イトーヨーカドーではないだろうか。一九七八(昭和五十三)年七月十三日に開店し、今年で三十五年。駐車場一、二三五台、売場面積二二、五五五平方㍍。
西武百貨店撤退後、沼津を代表する大型店だが、一方では人口減、収入源、商圏多様化で、撤退の噂が絶えない。
セブン&アイ・ホールディングスのグループ一員の西武撤退後、イトーヨーカドーが担うはずの商圏に、郊外への新規大規模商店計画。黒字、赤字の価値判断が全ての企業にしてみれば、撤退・閉店は当然のこと、従業員の解雇、市民生活、跡地問題は企業にしてみれば関係ない。それより、同じグループ会社のセブン・イレブンを一つでも多く出店したほうが利益が上がる。
沼津はこれから先、震災対策人口減少・生産人口減、老年人口増、税収減、鉄道高架の成否、道路対策、新ゴミ焼却場や新体育館の建設と課題が山積。東椎路まで含めた広域なコンパクトシティと考えるのか。沼津の認識が問われている。
《沼朝平成25年10月3日(木)号投稿記事》
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