知事発言広がる波紋
地元「責任持ち決断を」
県が事業主体のJR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の発言が波紋を広げている。住民参加の合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)で四つの代替案がまとまり、今後は知事の方針提示の判断が焦点になる。ただ、知事は「現場を知る職員に任せる」として、提示時期の明言も避けている。地元からは「知事の責任で決めるしかない」と早期決断を迫る声が強まっている。
県は11月4日にPIの手続きを監視する有識者のPI委員会の最終会合を開き、PI委は11月中旬に知事に意見書を出す見通し。
▼協議の長期化懸念
代替案は大きく分けて高架化を実施する2案と実施しない2案となった。いずれの案も国や沼津市、JR貨物などと県との調整は避けられず、関係者は「協議に時間がかかる可能性もある。早急に方向性を絞って関係者に示さなければ、事業がさらに遅れる」と危機感をあらわにする。
▼職員に全権委任
知事は25日定例記者会見で4案の受け止めを問われ、「まだ見ていない。(PI委からの)報告を受けてと思っている」と述べるにとどめた。一方で、P1に関わってきた複数の職員の名前を挙げて「全権を委任する」と繰り返し、「落としどころの見通しも持っていると信頼している」などと強調した。
県は県議会で、「PIの結果を踏まえて意思決定者の知事が年内に方向付けする」と説明してきただけに、知事と担当部局の認識の違いも出ている。
▼「公約通りに」
こうした知事の姿勢に地元は困惑を隠さない。経済団体の関係者は知事が6月の知事選でも「鉄道高架は進める」などと訴えた経過を挙げ「事業の推進を明確に打ち出し、公約を守ってほしい」と求め.る。栗原裕康沼津市長は24日の定例記者会見で、「速やかに判断を」と要請した。
PIの勉強会に参加してきた男性(50)は「賛成派、反対派とも今の中途半端な状態でいいと思っていない。両者の溝が埋まらない以上、最後は知事の政治判断しかない」と主張し、「今回の議論が生かされなければ、地元住民を冒とくすることになる」と指摘した。
《靜新平成25年10月29日(火)夕刊》
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