2012年2月2日木曜日

沼津市新年度予算案概要

津波・耐震に21億円
 沼津市新年度予算案
 第二、三小に外階段
 沼津市が1日発表した2012年度当初予算案は一般会計が722億3千万円(1・1%減)で防災を重視し、津波対策や学校耐震化などに総額21億円を配分した。事業仕分け後に見直した13事業の削減分は2億4400万円。栗原裕康市長は「市民が高い場所に早く逃げられるよう、きめ細やかな事業を展開する」と説明した。
 ▽環境・防災
 公立保育所施設整備(2600万円)は海沿いの西浦保育所を高台の西浦小に移す。子どもの避難対策は津波対策(1700万円)にも含まれ、建築物の高さ制限がある風致地区のときわ保育所(同市本)周辺に避難機能を満たした丘状の高台設置を検討する。小学校施設災害対策(2500万円)は津波避難ビルの第二、第三小に外階段を設ける。小中学校耐震化(3億1100万円)は12年度中に全校で県の耐震基準を満たす。既存建築物耐震化促進(1億円)は避難路沿いのブロック塀の改善の補助率を上げる。消防庁舎整備(2億6600万円)は西分署と原分遣所を統合し用地取得する。
 ▽暮らしやすいまちづくり
 地区センター建設(2億1400万円)は門池、今沢、内浦3カ所に整備する。静浦小中一貫校整備(11億7100万円)は校舎建設に着手する。子どものための手当支給(33億3千万円)は国の制度変更で給付額が約10億円減少した。
「沼津市2012年度主要事業◎新規○拡充」
 【環境、防災】
 ◎西浦保育所移転 2600万円
 ◎原地区に消防庁舎整備 2億6600万円
 ◎第二、第三小に避難用屋外階段設置 2500万円
 津波避難路沿いのブロック塀撤去改善の補助増など 1億円
 ○津波対策事業(海抜表示板、風致地区周辺の高台設置など) 1700万円
 ○通信システム増強 2500万円
 小中学校耐震化事業 3億1100万円
 【暮らしやすいまちづくり】
 ◎大岡市民運動場整備 1億円
 ○地区センター建設(門池、今沢、内浦) 2億1400万円1
 ○静浦地区小中一貫校、校舎建設など 11億7100万円
 ○放課後児童クラブ運営 1償2300万円
 【地域活性化】・
 ○商業まちづくり 2100万円,
 ◎愛鷹PAスマートインター設置(新東名は検討継続) 3800万円・
 〇三園橋アンダーパスなど道路新設改良 3億7000万円
 沼津駅北の展示イベント施設、立体駐車場建設 36億9600万円
 鉄道高架関連事業(関連用地取得など) 18億2700万円
(静新平成24年2月2日朝刊)


 24年度新規主要施策の概要(単位千円)
「環境にやさしく、安全・安心を実感できるまちづくり」
 ◇公立保育所施設整備事業(26,000)=西浦保育所の移転改築(地質調査・基本調査・実施設計)
 ◇公営住宅整備推進事業(470,000)=〈新規〉八重団地敷地整備(面積9,120㎡)。市営住宅集会所耐震補強実施設計(今沢ほか2カ所)
 ◇消防庁舎整備事業(266,300)=西部地域消防拠点施設の用地取得(面積3,740㎡)
 ◇津波対策事業(17,000)=〈新規〉ときわ保育所周辺の避難地整備調査。津波避難ビル誘導看板設置
 ◇災害時通信システム増強事業(25,000)=〈新規〉災害時通信手段の検討・整備
 ◇防災ラジオ整備事業(20,000)=自動起動式新型防災ラジオの有償配布(1台2000円)
 ◇小学校施設災害対策事業(25,000)=第二・第三小学校津波避難用屋外階段の整備

「元気でいきいきと暮らせるまちづくり」
 ◇地区センター建設事業(214,600)=〈新規〉(仮称)内浦地区センター基本・実施設計ほか
 ◇放課後児童クラブ運営事業(123,700)=〈新規〉第四放課後児童クラブ増設
 ◇小中一貫型学校整備事業(1,171,000)=〈新規〉静浦地区小中一貫型学校校舎建設工事校舎(面積8,980㎡)、グラウンド(面積14,688㎡)
 ◇市民運動場整備事業(100,000)=大岡市民運動場の整備。運動場整備、駐車場測量設計ほか(面積10,131㎡)

「魅力と活力にあふれ、にぎわいに満ちたまちづくり」
 ◇商業まちづくり推進事業(21,000)=〈新規〉個店魅力アップ事業への補助
 ◇にぎわいづくり企画推進事業(10,000)=〈新規〉新たなにぎわい創出・発信事業への補助
 ◇地域農政総合推進事業(10,900)=〈新規〉環境保全型農業者への補助
 ◇農山漁村活性化事業(3,800)=ダイビンク施設整備(西漁平沢)に対する補助
 ◇スマートインターチェンジ(SIC)設置事業(38,000)=東名愛鷹SIC測量設計。新東名駿河湾沼津SIC導入検討
 ◇道路新設改良事業(370,000)=三園橋アンダーパス(自転車歩行者道)の整備

「その他、充実を図った防災関連事業」
 ◇防犯まちづくり事業(43,500)=〈新規〉西浦地区地域無線放送施設整備事業に対する補助
 ◇消防機械器具整備(津波対策)事業(3,000)=救助用ゴムボート・水中探索装置・消防隊員用救命胴衣の整備
 ◇消防団機械器具整備(津波対策)事業(1,500)=消防団員用救命胴衣の整備
(沼朝平成24年2月2日号)

2012年2月1日水曜日

沼津市2012年度予算案


 沼津市一般会計722億3000万円
 新年度予算案 防災に重点配分


 沼津市は1日、2012年度の当初予算案を発表した。一般会計は722億3千万円。国の制度変更を受けた子ども手当の給付額減少などに伴い、過去最高だった前年度を7億7千万円(1・1%)下回った。5特別会計、3企業会計との合計額は繰り上げ償還を行う病院事業会計が膨らんだ影響で(1・1%増の1389億9500万円になる。
 一般会計の歳入のうち自主財源の根幹を担う市税は前年度とほぼ同じ351億円。個人市民税は2%増の118億6900万円、法人市民税は3・4%増の30億1100万円になった。固定資産税と都市計画税は評価替えで減少した。
 市税の構成比は3年連続で50%を割り込んだが、基金からの繰り入れなどで補い、東日本大震災で緊急性が高まった防災関連を中心に重点配分する。避難行動を意識した対策事業など主要事業だけで2・2倍の拡充となった。繰入金は43・8%減の20億5900万円。自主財源比率は58・1%と3ポイント低下する。
 歳出の3割強を占める民生費は223億7300万円(2・7%減)で、生活保護扶助費が当初ベースで初めて40億円を超えた。続く土木費(150億5千万円)はJR沼津駅北口の県東部コンベンションセンターに併設する市の展示イベント施設建設事業などで5・9%伸びた。主な事業は西浦保育所移転、災害時通信システム増強、西部地域消防庁舎整備、東名スマートインター設置事業など。

 津波浸水域 「西浦保育所を高台移転」
 沼津市新年度予算 14年春に開所
 沼津市は、海岸部で津波浸水域に位置する市立西浦保育所(同市西浦立保)を、近くの高台で避難地に指定されている市立西浦小(同市西浦平沢)の敷地内に移転する。1日発表した新年度当初予算案に、関連経費として2600万円を盛り込んだ。
 同保育所は海抜2㍍と低く、東海地震では発生から8分で5・5㍍の津波が想定される。隣地には津波避難タワーがあるが、東日本大震災の後、1~6歳児35人が短時間でたどりつけるか、想定外の高さの津波が来た場合にどう対処するかーなどの課題があらためて浮上した。保護者や西浦連合自治会が昨年、市に移転を要望した。
 同小学校は海抜18㍍で、校舎は津波避難ビルに指定されている。市は12年度に地質調査や基本設計、実施設計を行い、14年春の開所を見込む。
 津波対策としての公共施設の移転は沼津市では東日本大震災後初。同震災では迎えに行った保護者が津波の犠牲になった事例もある。避難時の個々の安全確保が重視される中、要援護者になる乳幼児を集まるべき避難地に移すことが、抜本的な津波対策になると期待される。
(静新平成24年2月1日夕刊)