2013年12月18日水曜日

地方都市に「居住誘導区域」
市街地活性化法改正 郊外での建設抑制も
 政府は17日、人口減少や高齢化が進む地方都市で住宅や商業、公共施設を中心部に集める「コンパクトシティー」構想を全国で推進するため、本格的な自治体支援に乗り出すことを決めた。「居住誘導区域」を指定し、容積率の緩和や郊外での建設抑制などを通じて街の機能を集約、郊外から移り住んでもらうよう促す。自治体の財政が厳しさを増す中、衰退した中心部を便利で活気のある街に再生する狙い。国土交通省は来年の通常国会に、都市再生特措法改正案を提出する。
 改正案によると、市町村は地元の商業、福祉などの関係者から意見を聞いた上でマスタープランを作成、住宅を集約する居住誘導区域を指定する。さらにこの区域内に、サービス施設の拠点エリアとなる「都市機能誘導区域」を設定。自治体の判断で、土地の面積に対する建物の大きさの上限を定める容積率を緩和できるようにし、マンショツやスーパー、病院、介護施設などを集約した大規模施設を建設しやすくする。
 施設を運営する会社などが郊外の土地、建物を売り、都市機能誘導区域内に移転する場合は、売却益の一部について課税を先送りする。都市機能誘導区域で居住地を売り、用地を提供した人に対しても、売却益にかかる税金を軽くする。
《靜新平成25年12月18日(水)朝刊》

「ららほーと進出と商店街の再生は両立できるか」 渡辺利明


 「ららほーと進出と商店街の再生は両立できるか」 渡辺利明
 十二月五日付本紙に東椎路の商業施設問題について私見を述べましたが、本稿では、もう少し掘り下げて皆様と考えてみたいと思います。
 日本は人口減少・少子高齢化時代を迎え、国勢の将来が危惧される時代に突入しています。沼津は東海道の、風光明美な恵まれた立地にありながら近隣市町に比べて人口の減少、経済活動の衰退ピッチが急速です。
 さまざまな分野の人達と会話を交わせば、沼津の将来に対する危機感が満ち満ちています。しかし残念ながら、この声が一つの声に結集していきません。かつて石油コンビナート問題などで大きなパワーを発揮し全国の注目を集めた人遠も、高齢化のためか、今は声もない状況です。
 東椎路への、ららぽーと進出問題は、このような沼津の将来を決定付ける重要な課題だと思っています。沼津市は「中心市街地活性化基本計画」なるものを推進してきましたが、現在まで実績は上がらず、現実は、全く逆の方向に進行しつつあります。
 大型店は次々と去り、特に丸井の閉店で街には若者が激減し、最後の砦、西武も撤退してしまいました。西武は数年前にも撤退の報道があり心配していましたが、市当局は、これへの対策を何ら手掛けることなく、撤退の日を迎えてしまいました。
 現在の社会・経済環境では、大型小売店で中心街を再生させることは無理であることが証明されています。全く別の視点で人々を集める仕掛けが必要だと思います。この仕掛け作りが成功し人々が集うようになれば、自ずと中小の小売り、飲食などの店も周辺に集まるようになります。
 仕掛けの一番手っ取り早いのは、市役所などの官公署、病院、文化施設、体育施設などを駅周辺にシフトすることだと考えます。「コンパクトシティ」を目指す先進都市は、これらの施策を巧みに取り入れて街づくりを進めています。
 中心街へ、いかにして人々を回遊させるか、各市町の知恵比べとなっています。国は十年以上前から「まちづくり三法」などで、この方向への街づくりを誘導しようと、さまざまな予算措置を講じています。
 そんな中で、ららぽーと出店問題が出てきました。この話に疑問を抱き、二〇一一年に十年計画でスタートした「第四次沼津市総合計画」なるものを見直してみましたが、進出が予定される地に、このような施設を誘致することは、うたわれていません。ごく直近に突然浮上した計画のようです。そもそも市の「総合計画」なるものは、相当慎重な検討の結果、策定されたものと考えていたのですが、それほどのものではないようです。
 ところで、ららぼーとと商店街再生は両立するのでしょうか。沼津に何十回となく訪れている日本総合研究所の藻谷浩介氏は、人口減少時代と経済活動の関係を分析して
います。
 それによれば、大型店舗をいくら増やしても全体的な消費が増加するわけではないことを数字で実証しています。それが証拠には、全国の百貨店、スーパーの売り上げは減少傾向が続いており、国民の食品、衣料などの消費金額が増えることはありません。
 新店が進出すれば、その周辺の商業施設の売り上げが減少し、やがては閉店に追い込まれるだけです。以前から噂のある大型スーパーや原地区の商業施殴は消えていくか、大幅縮小に追い込まれるでしょう。これが小売業の実態です。
 かつて小さなマグロ丼店を経営し閉店した経験のある栗原裕康市長には、このあたりのことはよく分かっているでしょう。敗れたものは去るしかないのが資本主義社会です。
 それでは、ららぽーとと商店街は共生できるのでしょうか。私は人々の需要の絶対額が伸びるわけではないので、まさに「無いものねだり」だと思います。そんな手品のようなことは期待できません。
 沼津市の幹部は、この両立は可能だとしていますが、まず疲弊した商店街を再生させてから、その種の発言はしていただきたいと思います。イーラdeの失敗(藻谷氏は計画段階から無謀な投資だと指摘していた)に始まって、市の行政には、このところチグバグさが際立っています。
 一方、市内には幾つかの商店街組織があり、藻谷氏から「街づくり」について何回も学んできているのに、この問題について一向に声を上げない点を不思議に思っています。まさに自分達の生活権がかかっているのですから。あるいは、現在の店はたたんで、ららぽーとに出店させてもらえればよいと考えているのでしょうか。
 今回の問題については沼津の将来に禍根を残さないよう、時代の大きな流れや周囲の環境変化を見回し慎重に検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。(下石田)
《沼朝平成25年12月18日(水)寄稿文》

2013年12月11日水曜日

沼津まちづくり会社 中間決算で初黒字

沼津まちづくり会社 中間決算で初黒字
 JR沼津駅前の再開発ビル「イーラde」を運営する沼津市出資の第三セクター「沼津まちづくり会社」(久保豊社長)は10日、2013年9月甲間決算を発表した。売上総利益は66・8%増の3千万円で、380万円の純利益を出した。同社の中聞決算の黒字は初めて。
 店舗賃貸事業では、09年度から取り組んでいる経営改善計画に基づき、フロアのリニューアルを継続した。カフェ併設のべーカリーショップなど有力テナントを誘致した結果、売上高は前年同期比3・9%増の1億8200万円となった。
 駐車場運営事業は、売上高が5700万円(同14・1%減)に減ったものの、運営を駐車場経営専門会社に委託するなど売上原価を抑え、売上総損失は前年同期より440万円減って570万円になった。全事業の累積赤字は2億5800万円に縮小した。
 同社の経営改善計画は本年度が最終年度に当たる。担当者は「目標としている14年3月期決算の単年度黒字化も達成できそう」との見込みを示した。
《靜新平成25年12月11日(水)朝刊》

2013年12月10日火曜日

沼津まちづくり会社(イーラde運営会社)が減資

沼津まちづくり会社(イーラde運営会社)が減資
総務経済委員会では、沼津駅前の大型複合商業施設「イーラde」を運営する沼津まちづくり株式会社の減資について商工振興課の真野正実課長が報告。
同社の資本金二十三億円を一億円に減資するのもので、減資分の二十二億円で利益剰余金のマイナス(赤字)二億六千二百万円を相殺し、残り十九億三千八百万円が資本余剰金となる。
資本金が一億円になることで、同社は会社法が定める資本金五億円以上の「大会社」ではなくなるため、法人監査機関などの設置が任意となり、組織のスリム化と義務的経費の削減が見込まれるようになる。また、税法上でも中小企業者とみなされ、法人事業税の外形標準課税の対象外となるほか、法人税など税負担が軽減される。
二十五年度決算では単年度黒字が見込まれることや、二十六年度以降に固定資産税の軽減適用期間が終了することなどが、今回の減資措置実施の理由だという。
今回の減資は帳簿上の形式的減資であるため、同社の純資産額についての変動はない。沼津市は同社に十二億九千三百五十万円を出資している大株主だが、減資による株主への影響もない。今後、臨時株主総会での議決を経て実行される。
《沼朝平成25年12月10日(火)号より》


 資本金を減資へ 沼津まちづくり会社
 沼津市が出資する第三セクターで、JR沼津駅南口の再開発ビル「イーラde」を運営する「沼津まちづくり会社」(久保豊社長)は9日、資本金を23億円から1億円に減資する方針を明らかにした。近く臨時株主総会で決議する。市が同日の市議会総務経済委員会で説明した。 本年度中に、会社財産の払い戻しを伴わない無償減資の手続きを済ませる予定。資本金の差益で2億6200万円の累積赤字を相殺し、残る19億3800万円を純資産の資本剰余金として計上する。
 市の説明によると、減資により、法人監査費などの義務的経費を削減できるほか、法人事業税の外形標準課税(年間約490万円)の対象外にもなる。
 同社はイーラde開業以降、赤字計上が続いたが、09年度から始めた経営改善により、14年3月期決算で初めて単年度黒字を達成できる見込み。
 担当者は「組織の見直しや経費削減をさらに進め、財務体質の強化を図りたい」としている。
《靜新平成25年12月10日(火)朝刊》

2013年12月5日木曜日

「JY」沼津の悲劇 渡辺利明

「JY」沼津の悲劇 渡辺利明
 先月二十五日の衆院決算委員会で、地方都市再生策について論戦が交わされていた。政府委員はコンパクトシティの実現を通じて斜陽化した地方都市の再生を図りたい、と国の方針を説明していた。これは郊外に拡散した諸施設を市街地に再集結して、人々の回帰を通じて市街地再興を図ろうとする「まちづくり三法」の目指す方向である。
 戦後、沼津に限らず各地方都市は、駅周辺などの商店街を交流させることにより地域経済の発展を支えてきた。我が沼津も戦災後の駅前にヤミイチ(闇市)が起こり、やがてアーケード名店街が完成し西武百貨店も進出、全国有数の商都に発展した。
 しかし、自動車時代の到来、近隣市町の興隆、郊外型店舗が増加する時代となった。また、病院、諸機関が郊外へ移転してしまったことも大きい。これらのことから旧市街の求心力は急速に弱まり、各地の地方都市中心部の斜陽化が進んだ。
 このような事態を立て直そうと、国は一九九八年、いわゆる「まちつくり三法」を制定し、衰退する中心市街地の活性化を進めることになった。これは郊外へ拡散した諸施設を改めて街中に戻し、中心市街地を活性化しようとするもので、いわゆる「コンパクトシティ」の実現を目指すものだ。
時代の流れは明らかに、この方向にある。
 このような中で、本市では東椎路への大型商業施設誘致問題が表面化した。地権者達は老齢化も進み農業後継者もなく、当然、農地の地代稼ぎを考えるのだろうが、郊外への商業施設誘致は現在の日本が目指すまちづくりの方向性とは全く異なるものだ。
 コンパクトシティを目指す方向に水を差すものと言わざるを得ない。土地の有効活用は別の観点で考えるべきものだ。この商業施設計画に沼津市は乗り気のようだが、「JY」=時代が読めない=全くの時代錯誤の施設と言わざるを得ない。米国には「ウォルマート現象」という言葉がある。ウォルマートは世界一の小売業で、世界各地に進出。低価格(エブリデイロープライス)を武器に米国の小売業界を席巻している。
 同社が進出してくると、その地域の既存スーパー、小売店は多くが閉店に追い込まれ、そして、周辺は廃墟になっていく。スーパー業界に身を置いていた頃、米国視察で、このようなショッピングセンターをいくつも見てきた。
 日本総研の藻谷浩介氏が指摘するように、日本は既にオーバーストア状況にある。人口減少時代を迎え消費が増えない中で、各企業が一定のパイを奪い合っている状況が続く。東椎路に大型商業施設が出来、そこに一定の売り上げが集まり、雇用が生まれたとしても、その周辺地域のスーパー、小売店が閉店に追い込まれるだけで、地域全体の需要が増加するわけではない。
 また、三菱地所が経営する御殿場アウトレットを見ても、進出した外部資本が儲けているだけで、駅周辺の商店街ではスーパー、小売店の閉鎖が加速し、御殿場市内への恩恵は全くない。
 先頃、商店街連盟に加わる各商店街の代表が、この問題について危機感を抱き、栗原裕康市長と面談したようだが、長年、沼津の発展を支えてきた商業者の死活問題として深刻に検討すべきだ。
 ただ、東椎路への大型商業施設出店問題として反対を唱えるのであれば、多くの市民の賛同を得るのは難しいかも知れない。
 しかし、沼津駅南北交通問題の解決など、これからの沼津の抜本的まちづくりに向けた建設的な議論を重ね、商店街としての自助努力を進めるならば、多くの支援を得られよう。沼津の街をなんとかしたいという声は、市内に満ち満ちているのだから。
 バブル期に構想され、一歩も進められない鉄道高架事業にしがみつき、今また大きな流れに逆らう東椎路の大型商業施設誘致に踏み出そうとしている「JY沼津」=時代が読めない沼津=は、沼津市民にとって大きな悲劇と言わざるを得ない。(下石田)
《沼朝平成25年12月5日(木)投稿記事》

2013年11月30日土曜日

知事「腹案ある」

沼津駅鉄道高架事業 知事「腹案ある」
 JR沼津駅付近鉄道高架事業で、川勝平太知事は29日、今後の方向性に関する「腹案がある」と述べ、沼津市やJR貨物との意見集約に向けた環境整備を急ぐ考えをあらためて強調した。県庁で沼津駅の高架化を実現する市民の会から事業推進の要望を受けた後、記者団の質問に答えた。
 知事は腹案の具体的内容には踏み込まなかったが、現計画で貨物駅移転先となっている同市原地区の津波対策などを「少し心配している」と指摘し、同地区の防災力向上も含めて事業を考えていくことを示唆した。
 市民の会は住民参加型合意形成作業(PI=パブリックインボルブメント)の終了を受け、早期に関係機関と協議を済ませ、事業着手するよう訴えた。知事は「要望は真正面から受け止めた」と応じた。JR貨物幹部とも個別に面会して協力を求めていると説明し、「意見を十分に集約して(PIでまとめた代替の)4案から1案に絞っていく」とした。
《靜新平成25年11月30日(土)朝刊》

2013年11月29日金曜日

都市計画「拡散」から「集約」へ

都市計画「拡散」から「集約」へ
 県の区域マスタープラン策定方針
 県土の再構築提示
 ※都市計画区域マスタープラン 長期的視点で都市の将来像を示す指針的な役割を持つ。2000年の都市計画法改正で都市計画区域ごとの策定が都道府県に義務付けられた。静岡県には静岡や浜松、東遠広域、東駿河湾広域、岳南広域など20区域のプランがあり、おおむね5年ごとに見直す。実現に向けて政策的にまちづくりを誘導するには総合計画や福祉、産業、防災面の各種庁内計画との整合性も不可欠となる。


 くらしや産業の中核を成す都市の将来像を示す「県都市計画区域マスタープラン」の次期改定作業に向け、県は、目指す都市構造を従来の「拡散型」から「集約型」へ転換させることを柱とした策定方針を固め
た。密度の高い高度な都市機能を周辺地域の開発や地域振興へと波及させる従来の戦略を抜本的に転換。分散した都雨機能を交通ネットワークでつなぎ、集約化することで、均衡ある県土の発展を目指す。

 人口減少や雇用環境の変化、東日本大震災を受けた地震・津波対策など、近年の急激な社会環境の変化が背景にある。再構築する県土の姿を全市町や県民に提示し、実現に向けた政策展開や住民参加のまちづくりを促す。県は、この方針に基づいて県内全20区域のプランの見直しを本格的に進め、2015年度末までに完了させる。
 都市の拡散への対応ではこれまで「コンパクトシティー」の概念があった。ただ、県都市計画課は「中心部へ向けて都市の範囲を凝縮する志向となり、相対的に人口密度が下がる周辺や郊外のフォローがされてこなかった」と指摘する。
 集約型都市構造では都市範囲(市街化区域や用途地域)の無理な縮小はしない。中心部周辺や郊外エリアはむしろ、地域特性を生かすことに重点を置く。これらを交通ネットワークで結び、人々がどこに住んでも都市機能の恩恵が受けられるよう戦略的開発を図る。
 具体的には、中心部は公共施設や商業施設を集めてにぎわいづくりに努める。周辺市街地では空き地などの活用でゆとりある居住空間を創出する。郊外は農林業を中心とした地場産業の育成を重視するとともに、従来からの集落の拠点性を高める。
 津波リスクがある沿岸部や新東名高速道沿線の開発は内陸のフロンティアを拓(ひら)く取り組みと連動した土地利用を目指す。
 同課は「県土構造の特性を生かして都市や農村、漁村が育んできた個性や魅力を強化しながら、必要のない都市の広がりを抑えるのが目的」としている。

 転換の背景に危機感
 県が都市計画の方向性を転換する背景に、「社会環境の変化に対応していかなければ将来にわたって魅力ある県土を残せない」(都市計画課)との強い危機感がある。
 戦後、県内でも人口の増加や自動車の普及に伴って郊外に住宅団地や大型商業施設が整備され、市街地が拡大し続けた。中心部は空洞化し、虫食い的に市街地化する農村の魅力低下が顕著になった。
 県内人口は減少に転じ、試算では、30年後に最大68万人減る。都市中心部では空き店舗や空き家が増加する一方、郊外では車が運転できない高齢者が増え、税収減で都市の維持が困難になるといった問題が懸念される。
 ただ、地価の安さなどから郊外への開発要求は依然として強いのが実情。同課担当者は「集約型都市構造の必要性はまだまだ理解されていない」と認めた上で、周知活動が重要になると話す。
 実現には市町との連携も欠かせない。集約型まちづくりで先行する富士市や中心部のソフト施策が効果を上げている藤枝市などの事例も発信し、「各市町の取り組みを支援したい」(同課)という。
《靜新平成25年11月29日(金)夕刊》

2013年11月25日月曜日

中心市街地の整備に国の支援なしで自前でやると考えていると思われる静岡県内の市

「中心市街地活性化基本計画の認定を受けていない静岡県市都市」
静岡県 三島市・静岡県 富士宮市・静岡県 島田市・静岡県 富士市・静岡県 磐田市・静岡県 焼津市 ・静岡県 御殿場市・静岡県 袋井市 ・静岡県 下田市・静岡県 裾野市・静岡県 湖西市・静岡県 伊豆市・静岡県 菊川市・静岡県 伊豆の国市

2013年11月24日日曜日

地方都市リノベーション事業の概要

地方都市リノベーション事業の概要




人口減少と高齢化、地場産業の停滞などにより、地域の活力が低下しており、経済社会情勢の変化に応じた都市の再構築(リノベーション)を行うことが喫緊の政策課題であるとの認識のもと、平成24年度補正予算において、都市再生整備計画事業を拡充し、地方都市リノベーション事業を創設した。

(1)目的

地方都市の既成市街地等において、既存ストックの有効活用を図りつつ、持続可能な都市構造への再構築を図るため、地域の生活に必要な都市機能(医療・福祉、商業等)の整備・維持を重点的かつ集中的に支援することにより、地域の中心拠点・生活拠点の形成を推進し、地域の活性化を図ることを目的とする。

(2)概要

以下の区域要件を満たす区域内において、地方都市リノベーション推進施設((3)交付対象事業を参照)の整備を行い、通常の都市再生整備計画記載事項に加え、都市の再構築に必要な事項をあわせて記載し、国が確認した計画については、地方都市リノベーション事業として実施することができる。

1)区域要件
<地方都市リノベーション推進施設を整備できる区域(中心拠点区域)>
国勢調査の結果に基づく人口集中地区内(今後、直近の国勢調査の結果に基づく人口集中地区に含まれると見込まれる区域を含む。)
鉄道・地下鉄駅(ピーク時運行本数(片道)が3本以上)から半径1kmの範囲内又はバス・軌道の停留所・停車場(ピーク時運行本数(片道)が3本以上)から半径500mの範囲内
公共用地率15%以上の地域内(今後、公共用地率が15%以上となることが確実である地域を含む。)

<生活拠点施設を整備できる区域(生活拠点区域)>
中心拠点区域に接続するバス・鉄軌道の停留所・停車場から半径100mの範囲内
中心拠点区域の中心から半径5kmの範囲内
市街化区域内、又は区域区分が定められていない都市計画区域において設定される用途地域内


2)都市再生整備計画に追加記載する事項
都市機能の拡散防止のための公的不動産の活用の考え方を含む、当該都市全体の都市構造の再編を図るためのリノベーション方針

都市機能の配置の考え方
都市再生整備計画の目標を達成するうえで必要な地方都市リノベーション推進施設及び生活拠点施設の考え方
都市再生整備計画の目標を達成するために必要な交付対象事業
(3)交付対象事業

中心拠点区域及び生活拠点区域内において実施する地方都市リノベーション推進施設及び生活拠点施設に加え、目標達成に必要な従来の都市再生整備計画事業の交付対象事業。
ただし、地方都市リノベーション事業を実施する場合は提案事業は交付対象としない。また、交付対象事業の追加と合わせて、既存建造物活用事業や都市再生土地区画整理事業及び市街地再開発事業の特例を拡充。

1)地方都市リノベーション推進施設
医療施設 ※
社会福祉施設 ※
子育て支援施設 ※
教育文化施設 ※
商業施設 ※
2)生活拠点施設
医療施設 ※
商業施設  ※
地域交流センター
※民間事業者による間接交付事業として実施する場合は、交付対象事業の範囲が一部限定されるとともに、一定条件の下で民間事業者負担の軽減措置がある。

3)既存建造物活用事業の拡充
既存建造物活用事業の交付対象に地方都市リノベーション推進施設及び生活拠点施設を追加
交付対象に賃借に要する費用(高次都市施設及び地方都市リノベーション推進施設、生活拠点施設に限る。)を追加

4)都市再生土地区画整理事業の特例
地方都市リノベーション事業として実施される都市再生土地区画整理事業については、以下の要件等を緩和。
地区面積の引き下げ 換算面積(=施行面積×容積率/100) 2ha以上 → 5,000㎡以上
従前公共用地率の引き下げ 15%未満→20%未満
移転補償対象敷地に地方都市リノベーション推進施設及び生活拠点施設を追加

5)市街地再開発事業の特例
地方都市リノベーション事業として実施される市街地再開発事業については、以下の要件等を緩和。
地区面積の引き下げ 原則10,000㎡以上→原則2,000㎡以上(※1)
補償対象額嵩上げにより、事業者負担を軽減(民間活力の積極的な活用)
※1 都市局事業の場合。住宅局事業の場合は、原則5,000㎡以上→原則1,000㎡以上に緩和など

(4)交付金の交付限度額の算定

都市再生整備計画に位置付けられた事業の実施に必要な事業費の50%。

(5)その他

交付対象、交付期間等については従来の都市再生整備計画事業の取扱いと同じである。


特注 都市再生整備計画策定時の配慮事項

① 都市全体のリノベーション方針
 地方都市リノベーション事業の実施に際して、当該都市全体の都市構造再編の実現を図るため、都市機能の拡散を防止する等の公的不動産の活用の考え方を含めたリノベーション方針について記載していただきます。


2013年11月23日土曜日

中心市街地と郊外への大型商業施設・両立可能か。

中心市街地と郊外への大型商業施設
両立可能か、商連が市長の考えただす

沼津市商店街連盟(芦川勝年会長)は、市立病院東側一画に大型商業施設誘致の話が進められていることについて、加盟する十二の商店街としての要望を市に対して行った。二十日、芦川会長ら十一人が市役所を訪れ、栗原裕康市長に要望書を手渡し、市長の考えをただした。市長は中心市街地の活性化とともに郊外開発によるまちづくりを同時に進めることに理解を求めた。


既存商店街への影響指摘
コンパクトシティ推進求める
芦川会長は、市長が中心市街地と郊外開発を両立させるとする一方で、「政治判断で一方を切り捨てなければならないこともあるかも知れない」と発言したことなどを挙げ、「我々の考えを伝えるために来た」とあいさつ。
商連担当者が「郊外への大型商業施設の進出は中心市街地活性化法における大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画(中活計画)を根源から揺るがすもの」などとする文面を読み上げた。
芦川会長は、大型施設進出予定地について、市は交流・交通の要衝として期待しているようだが、これまで同所に工場などの進出がなかった理由は地盤が軟弱なため、だとして検証を求めるとともに、「市は、リノベーション事業が中心市街地活性化法と同じような効果があると言っているが、我々には分からない」とし、中活計画をそのまま進めてもらいたいと要望。
続いて各商店街代表らが発言。
大手町商店街振興組合の松田和孝理事長は「一回なくなった商店街を再生させるのは難しい。(大型商業施設と)両立させるにしても我々が納得いく形で進めてもらいたい」とし、リコー通り商店街振興組合の大田賢一理事長は「沼津商工会議所新会館とキラメッセぬまづが出来る駅北が良くなるよう、お願いしたい」と求めた。
仲見世商店街振興組合の土倉弘三理事長は、二十年後の人口予想として静岡県は二〇%、沼津市は二八%減少することを示し、「(進出が言われる)ららぽーとが出来ればイトーヨーカドーが撤退し、さらに人口減少に拍車がかかる」とし、鉄道高架に伴う区画整理で線路南側の仲見世パーキングの駐車場収入が激減したことを挙げ、「我々の仲見世商店街も成り立たず、沼津の街はなくなる恐れがある」と指摘。
日専連ソニックの横山勝社長は「高架が未だに停滞している中、国がコンパクトシティを進めている。大型店が出来ることで小売業が潰される」と憂慮。大型店は業績が悪化すれば撤退してしまうと過去の例を挙げ、「もう一度まちづくりの絵を描いて貰いたい」と求めた。
駅前名店街の藤原規夫会長は、中心市街地を訪れる高齢者にとって沼津駅前の地下道は苦痛だとし、「バリアフリーにして」と、地下道を利用せずに買い物ができるようなまちづくりを要望。
アーケード名店街の水口隆太副理事長は、アーケード再開発会社の社長の立場で発言。アーケードの再開発に関して長い時間と多くの資金をつぎ込んで市と話し合ってきたことに触れ、「中活計画がなくなると(アーケードの地権者ら)百五軒をまとめることが困難になる」として、国が進めるコンパクトシティに沿って事業が進められることを希望する一方、中活計画を外すことによるデメリットを検証するよう求めた。
商連の市川誼副会長は「コンパクトシティの考え方は素晴らしいもの」だとし、自身が住む周辺に大型マンションが建設されたことで子どもが増え、また狩野川河畔の階段堤が利用できるようになって活性化の機運が盛り上がっている時、中活計画がなくなるダメージを憂慮した。
本町区商店連盟の竹下功一会長は、前身の時代も含めて「よさこい東海道」が十七年を経過。いろいろな人とのつながりで成り立っていることを挙げ、これまでの様々な経験によって「まちづくりは人づくり」との結論に至ったとしたうえで、「大型商業施設は子ども達のふるさとにはならない。その点も考えて」と訴えた。
各人の考えを聴いた栗原市長は、沼津を訪れる人の利便性を考え、東名高速道路にスマートインターチェンジを造ることによって大型店進出予定地の利用が浮上したことを話し、規制緩和によって経済成長を図るアベノミクスにならい、市街化調整区域の土地利用を緩和して開発を進める考えを示した。
また、国土交通省から出向している河南正幸副市長が同省へ赴き、中心市街地と郊外開発を両立させるための情報を収集、その中でリノベーション事業を活用できることが分かった、として両立への理解を求めた。
また、「政治判断で一方を切り捨てなければならないこともあるかも知れない」との発言について市長は、「私の言葉足らずだった」とし、中心市街地活性化法によっての両立は法律上難しい、としてリノベーション事業による中心市街地の活性化を示した。
これを受けて芦川会長は「一度潰れた細胞は絶対によみがえらないことを忘れないでほしい」と釘を刺し、大田理事長は「物の売買だけでは、まちは成り立たない」として、学校を誘致するなどの方法を考えるよう求めた。
※リノベーション事業正式には「地方都市リノベーション事業」。地方都市の再構築を図るため、地域に必要な都市機能である医療、福祉、教育文化、商業などの整備と維持を支援し中心市街地地の活性化を図る国の施策。
《沼朝平成25年11月23日(土)号》

2013年11月22日金曜日

大型商業施設進出に対する意見書:沼津商連市長に提出

沼津市長栗原裕康様

中心市街地活性化基本計画事業継続要望書
(大型商業施設進出に対する意見書)

 平成21年12月に沼津市が国から認定された沼津市中心市街地活性化基本計画は、向こう5か年の中心市街地のビジョンであり、今日まで、その計画に基づき沼津市および中心市街地活性化協議会等と連携しコンパクトなまちづくりを目指し努力してきたところであります。
 しかし、沼津市立病院東側約11ヘクタールへの大型商業施設の進出は、中心市街地活性化法の大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画を根源から揺るがすものであります。
 この沼津市が策定した基本計画は平成27年3月までとなっており、郊外へ大型商業施設の出店を容認する場合には引き続き国から認定されるのは非常に厳しい状況であります。
 基本計画の終了は、今後、中心市街地に対し国からの支援が非常に厳しくなる他、現在、取り組んでいる様々な中心市街地の活性化事業に物質的にも精神的にも大きな影響が生じるところであります。
 よって沼津市においては方針を転換せず中心市街地活性化基本計画の国へ向けての積極的な事業継続を切望いたします。
 このようなことから、沼津市商店街連盟としては大規模商業施設の進出については反対いたします。

 平成25年11月20日(水)

 沼津市商店街連盟
 沼津仲見世商店街振興組合
 沼津大手町商店街振興組合
 沼津中央通り商店会
 沼津駅北振興会
 沼津リコー通り商店街振興組合
 沼津駅前名店街
 沼津上本通り商店街振興組合
 沼津あげつち商店街振興組合
 沼津新仲見世商店街
 沼津銀座通り商店会
 商店街振興組合沼津アーケード名店街
 沼津本町区商店連盟

2013年11月21日木曜日

沼津市商店街連盟 市長に要望書提出

「中心街活性化」継続を
沼津市商店街連盟 市長に要望書提出

沼津市東椎路の市街化調整区域への大型商業施設「ららぽーと」の進出計画をめぐり、中心街の衰退が懸念されている問題で、沼津市商店街連盟は20日、2014年度末に第1期が終了する中心市街地活性化基本計画(中活)の継続を求める要望書を、栗原裕康市長に提出した。
要望書は、芦川勝年会長と中心街の12商店街の代表者の連名。ららぽーとの進出計画は、大規模集客施設の郊外拡散を防ぐ狙いがある中活の基本万針を根底から揺るがすと指摘し、第1期終了後、中心市街地に対する国の支援が受けられなくなるほか、これまでに取り組んでいる活性化事業に多大な影響を及ぼすとしている。
市は19日の市議会全員協議会で、中活を継続をせず、14年度中に国土交通省の「地方都市リノベーション事業」の採択を受け、中心街の活性化に取り組む方針を示した。
市役所で要望書を手渡した芦川会長は、郊外に大型商業施設が進出することで、「市全体のイメージが拡散してしまう恐れがあり、交通体系や地域性の問題などもある」と述べた。同席した商店街の代表者も「中心街が急速に衰退し、再生させるのは非常に困難になる」「中活をやめることでまちが失うことを詳しく検証してほしい」などと訴えた。
栗原市長は「定住人口、交流人口の増加を図るためにも、あくまで中心市街地と郊外の活性化の両立を目指す」と理解を求め、専門学校の誘致などで中心街の振興を図る考えを述べた。
《静新平成25年11月21日(木)朝刊》


ららぽーと進出反対意見書提出
 沼津市長に市商連
 沼津市立病院東側の市街化調整区域への大型商業施設「ららぽーと」進出計画で、JR沼津駅周辺の商店街でつくる市商店街連盟の芦川勝年会長(六六)らは二十日、進出に反対する意見書を栗原裕康市長に渡した。
 意見書は、郊外への大型商業施設の進出について、市が二〇〇九年十二月に国から認定を受けた「中心市街地活性化基本計画」の基本方針から逸脱しており、計画を根源から揺るがすと指摘。一五年三月末で終わる基本計画の継続を求めた。
《東京新聞平成25年11月21日(木)》

2013年11月20日水曜日

「郊外と中心街振興両立」:「中心市街地活性化基本計画」を継続せず

「郊外と中心街振興両立」
ららぽーと進出計画 消費拡大も期待 沼津市長
沼津市の栗原裕康市長は19日の市議会全員協議会で、同市東椎路の市街化調整区域への大型商業施設「ららぽーと」進出計画について、「市内への消費回帰や新規消費の流入が期待できる」と述べた。

その上で市は、衰退が懸念されている中心市街地に関しては、2014年度末に第1期が終了する「中心市街地活性化基本計画」を継続せず、新たに国土交通省の「地方都市リノベーション事業」の採択

を目指し、郊外と中心市街地の振興を両立させる方針を明らかにした。
地方都市リノベーション事業は、既成市街地の有効利用を図りながら、国の交付金(原則50%)を受けて、持続可能な集約型都市構造の再構築を目指す制度。駅を中心に半径1㌔内に医療、福祉、子育て支援など生活に必要な機能を整備しながら、生活拠点を形成する。
栗原市長は「都心居住を促進するとともに、商業、医療、福祉など質の高い生活環境を提供して、中心市街地の活性化を図りたい」と話した。
一方、「ららぽーと」を運営する三井不動産の計画概要によると、店舗面積は約6万平方綴。テナント数は約200店。半径30㌔圏内からの集客や、3千~4千人の雇用創出を見込んでいる。予定地の地権者団体は5年後の開業を求めている。市は、市街化調整区域の開発を可能とするため、都市計画決定や地区計画の策定などを進めていく方針。
《静新平成25年11月20日(水)朝刊》


 沼津市 ららぽーと巡り補助事業変更へ
 市街地と郊外両立図る
 沼津市東椎路への「(仮称)ららぽーと沼津」進出計画に関連し、沼津市は19日、2014年度末で事業認定の期限を迎える「中心市街地活性化基本計画」に代わり、15年度から別の国の補助事業「地方都市リノべーション事業」の採択を目指す方針を明らかにした。郊外の開発への規制がある中心市街地活性化計画の事業継続は、ららぽーととの両立が困難と判断したため。
 14年度中にリノベーション事業の計画をまとめ、15年度からの国土交通省の事業採択を目指す。
 沼津市都市計画部によると、中心市街地活性化計画に盛り込んだほぼ全ての補助事業がリノベーション事業の補助対象に残るうえ、リノベーション事業の方が補助率が高いという。県内では、静岡市(駿府ふれあい地区)▽焼津市(焼津中部地区)▽三島市(みしままちなか賑わい再生地区)ーが既に事業採択されている。
 ららぽーと進出計画に対し、沼津市の中心商店街は「中心部の空洞化が進むのでは」と危機感があり、沼津市商店街連盟は中心市街地活性化基本計画の事業継続などを20日に市長に要望する予定だった。【石川宏】
《毎日新聞平成25年11月20日(水)》

2013年11月16日土曜日

沼津高架、知事明言避ける

沼津高架、知事明言避ける

 JR沼津駅付近の鉄道高架問題を巡り、川勝知事は15日、事業の方向性を決定する判断時期について「出来るだけ早くということだ」と明言を避けた。4案から絞り込む作業は県職員で、自身は後方支援する「付録」の存在とした。政治主導での解決を棚上げするもので、知事の考えに不満が噴出することは避けられない情勢だ。

 同日、PI(パブリック・インボルブメント)プロジェクトの助言役などを務めた委員会の石田東生委員長(筑波大教授)が、「何も決まらない状態は最も避けるべき」などと結論付けた報告書を知事に提出した。
 その後、報道陣の取材に応じた知事は、「PI委員会は1案に絞るのが目的だったが、JR貨物、沼津市が入らなかったから4案にとどめざるを得なかった」とし、JR貨物と沼津市に協力を要請する考えを示した。
 また、同プロジェクトに関係した県職員を「主役」「彼らを正面に立てる」と強調。自身の役割については、「彼らがしっかりと仕事をできる環境を作ること」とし、「(担当職員の)重要な付録になりたい」とも述べた。

 知事は「誰も不幸にならない解決策を目指すのが基本」としたものの、「命令してこうしてくれというやり方はしない」と言い切り、自身の政治主導で解決策を提示することを否定した。

(2013年11月16日 読売新聞)

2013年11月13日水曜日

沼津・商店街連 大型SC「反対」:中日新聞平成25年11月13日(水)朝刊記事




沼津・商店街連
大型SC「反対」へ
地元地権者らは実現要望
沼津市北西部にある市街化調整区域に、郊外型の大型商業施設の進出計画が持ち上がっている。栗原裕康市長は九月の市議会で「開発の可能性を探る」と前向きな姿勢を表明。地元でも推進の動きが具体化してきたが、JR沼津駅周辺の商店街でつくる沼津市商店街連盟は、進行中の中心市街地の活性化事業に影響を与えるとして反対する構えだ。
栗原市長の姿勢を受け、市立病院東側にある土地約十二㌶(東椎路)の地権者でつくる「街並を創造する会」と周辺自治会の代表は十一日、市長に要望書を手渡した。「ららぽーと」を運営する三井不動産(東京)を優先交渉権者に選んだと報告し、「(北西部)地域の活性化はもとより、(市全体の)まちの活力向上にも期待できる」と早期実現を要望した。
創造する会の深沢臣夫(とみお)会長(七九)によると、三井不動産が示した「(仮称)ららぽーと沼津」の概要は店舗面積六鉛、テナント二百店、駐車場三千五百台の規模。市街化調整区域の土地を開発する場合、農地転用などの行政手続きが必要で、会は市の理解と協力を求めた。
栗原市長は報道陣に「前向きに検討したい」と明言。「中心市街地の皆さんは(郊外開発で)中心部がもっと疲弊するのではと恐れているが、両立したい。両立できない場合はどちらかを選択する」と述べた。
一方、市商店街連盟の芦川勝年会長(六六)は「市は中心市街地の活性化を続けてほしい」と述べた。近く開発反対の意見書を栗原市長に提出するという。(築山英司)
《中日新聞平成25年11月13日(水)朝刊》

地権者団体ら 市長に早期実現要望書:東京新聞記事

沼津市北西部に商業施設
 地権者団体ら 市長に早期実現要望書
 沼津市北西部にある市街化調整区域に、郊外型の大型商業施設の進出計画が持ち上がっている。栗原裕康市長は九月の市議会で「開発の可能性を探る」と前向きな姿勢を示したが、JR沼津駅周辺の商店街でつくる沼津市商店街連盟は、進行中の中心市街地の活性化事業に影響を与えるとして反対する構えだ。
 市立病院東側にある約十二㌶の土地(東椎路)の地権者でつくる団体「街並を創造する会」と周辺自治会の代表が十一日、栗原市長に要望書を手渡した。二カ月前の市長の積極姿勢を受け、最初の交渉相手として「ららぽーと」を運営する三井不動産(東京)を優先交渉権者に選んだと報告し、「(北西部の)地域の活性化はもとより、(市全体の)まちの活力向上にも期待できる」と、開発の早期実現を要望した。
 創造する会の深沢臣夫(とみお)会長(七九)によると、三井不動産が示した「(仮称)ららぽーと沼津」の概要は店舗面積六㌶、テナント二百店、駐車場三千五百台の規模。市街化調整区域の土地を開発する場合、農地転用などの行政手続きが必要で、会は市の理解と協力を求めた。
 栗原市長は報道陣に「前向きに検討したい」と話し、「中心市街地の皆さんは(郊外開発で)中心部がもっと疲弊するのではと恐れているが、両立したい。両立できない場合はどちらかを選択する」との意向を示した。
 市商店街連盟の芦川勝年会長(六六)は「市は中心市街地の活性化を続けてほしい」と述べた。近く開発反対の意見書を栗原市長に提出するという。(築山英司)
《東京新聞平成25年11月12日朝刊》

2013年11月12日火曜日

大型商業施設進出に対する意見書

 沼津市長様

中心市街地活性化基本計画事業継続要望書
(大型商業施設進出に対する意見書)


平成21年12月に沼津市が国から認定された沼津市中心市街地活性化基本計画は、向こう5か年の中心市街地のビジョンであり、今日まで、その計画に基づき沼津市および中心市街地活性化協議会等と連携しコンパクトなまちづくりを目指し努力してきたところであります。
しかし、沼津市立病院東側約11ヘクタールへの大型商業施設の進出は、中心市街地活性化法の大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画を根源から揺るがすものであります。
この沼津市が策定した基本計画は平成27年3月までとなっており、郊外へ大型商業施設の出店を容認する場合には引き続き国から認定されるのは非常に厳しい状況であります。
基本計画の終了は、今後、中心市街地に対し国からの支援が非常に厳しくなる他、現在、取り組んでいる様々な中心市街地の活性化事業に物質的にも精神的にも大きな影響が生じるところであります。
よって沼津市においては方針を転換せず中心市街地活性化基本計画の国へ向けての積極的な事業継続を切望いたします。
このようなことから、沼津市商店街連盟としては大規模商業施設の進出については反対いたします。

平成25年9月20日
沼津市商店街連盟

東椎路への大型施設誘致 地権者組織が市長に静新・沼朝記事

 「ららぽーと」早期実現を
 沼津・地権者団体 市長に協力要請
 三井不動産が運営する大型商業施設「ららぽーと」の進出が計画されている沼津市東椎路の市街化調整区域をめぐり、地元の地権者団体「街並を創造する会」の深沢臣夫会長らが11日、市役所を訪れ、計画の早期実現に向けて市に協力を求める要望書を栗原裕康市長に提出した。
 要望書は、同会と進出予定地に近い愛鷹地区、金岡西部地区の両連合自治会の連名で、同社の計画が「雇用の創出や税収入の増加、交流人口の拡大など、まちの活力向上に期待できる」としている。その上で市に、農地法や都市計画法など法令上の緩和策や、道路整備、治水対策などを求めている。
 計画をめぐり、市中心街の疲弊を招くとの声も上がっている。栗原市長は「地権者や当該地域だけの問題でなく、沼津全体の問題。中心市街地の活性化と郊外の土地の有効利用を両立できる施策を講じていきたい」と述べ、あらためて計画推進の姿勢を示した。
 深沢会長は「沼津市西北部の開発は立ち遅れているので、何とか計画を実現させたい」と話した。
《静新平成25年11月12日(火)朝刊》


西北部の地域づくりで要望
東椎路への大型施設誘致 地権者組織が市長に
 東椎路への大型商業施設誘致で、ららぽーとを運営する三井不動産を優先交渉権者に選定した地権者組織、街並を創造する会(深沢臣夫代表)の役員八人は十一日、市役所に栗原裕康市長を訪ね、愛鷹と金岡の両地区連合自治食と連名による「沼津市西北地域の活力あるまちづくりに関する要望書」を渡した。市長は、土地利用変更について検討していることを説明し、「頑張る」と推進の考えであることを示した。
関係連合会長との連名で
 市長「頑張る」と前向きの姿勢
 深沢代表が要望書を読み上げ、三井不動産を優先交渉権者として選んだ理由として、ららぽーとは市外や県外からも集客が期待できる魅力ある商業施設で、全国的に知名度の高いテナントを誘致できるノウハウがあることなどを挙げた。
 また、愛鷹と金岡の両地区連合自治会が、雇用の創出、税収増、交流人口の拡大などにより地域の活性化、まちの活力向上にも期待できることから事業提案に賛同していることを示した。
 その上で、「市としても、当該地の大型商業施設による事業提案について、ぜひ前向きに検討し、事業の早期実現に向けて理解と協力をいただけるように」と結んだ。
 これに対して栗原市長
は「土地の有効利用の結論を出したと理解している」とし、大型商業施設の進出は愛鷹地区と金岡地区の問題だが、市としても関心を持っていることを述べ、「中心市街地の商業者の中には強硬に反対している人もいるが、市としては両方が成り立つようにしたい」との考えを見せた。
 また、予定地周辺に治水問題があることを挙げ、「新沼川放水路建設は完成まで二十年かかると言われているが、二十年は長過ぎる」とし、国が関係地域を「100㍉安心プラン」対象地域に選んだことから具体的に事業が進み工期が短縮されることに期待した。
 さらに、市長が「地権者は一〇〇%OK(賛成)か」と尋ねたのに対して深沢会長が「ほぼ一〇〇%」と答えると、市長は「何かやろうとすると、必ず反対がある」とした上で、東名愛鷹パーキングエリアと新東名駿河湾沼津サービスエリアにスマートインターチェンジが開設されることなどを挙げ、「放水路が出来れば事業をしやすい地域になるので頑張りたい」と答えた。
 一方、「(郊外への大型商業施設は〉中心市街地の疲弊を招くとの心配もあるが、両立を目指したい。どちらか一方を切り捨てなければならないこともあるかも知れないが、最後には政治が決断しなくてはならない」と強い決意を示した。
 散会後の記者会見で、郊外への大型商業施設進出話で沼津駅付近鉄道高架事業に対する川勝平太知事による最終決定への影響がないかを問われた市長は、「(沼津駅周辺のまちづくりは)高架を前提に進めているので今さら中止することは、政治的にはあり得ない」と強調。
 また、「沼津は腐っても鯛」だとし、東部地域では、まちの魅力は一番で「(ららぽーとは東名、新東名)インターにも近く、沼津駅からも遠くないし、治水問題が解消すれば沼津市は衰退傾向から脱却できるのではないか」と期待した。
 ※地権者組織が誘致交渉の優先権者に決めた、ららぽーは、「広域集客性」「地域との連携」「独「自性」を開発のキーポイントに挙げ、特徴として「子どもから大人まで、みんなの生活を豊かにし、街ににぎわいを創出する場を提供する」ことを揚「げている。
 地権著側への提案によると、沼津での施設規模は店舗面積約六㌶、テナント数約二百店、駐車場台数約三千五百台、雇用予定人数約三千人から四千人。
 これまで全国に八店舗を展開し、2006年には千葉県船橋市に店舗面積約二・五㌶の「ららぽーとTOKYO BAY」を、〇九年には磐田市に店舗面積約五㌶の「ららぽーと磐田」を開設している。
《沼朝平成25年11月12日(火)号》

2013年11月5日火曜日

PI委終了4案提出へ

PI委終了4案提出へ
 沼津駅高架 県、絞りきれず
 県のJR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐり住民の合意形成を図るパブリックインボルブメント(PI)の監視、助言に当たってきたPI委員会(委員長・石田東生筑波大教授)は4日、沼津市で最終会合を開き、県が提示した事業計画の代替案4案を承認した。鉄道高架の推進派、反対派の溝は大きく、県は案を一つに絞りきれなかった。石田委員長は15日、最終報告書として4案を川勝平太知事に提出する。
 代替案は鉄道高架2案と、沼津駅橋上駅化の2案。高架は市中心部の現貨物駅を原地区に移す案と、近くの駅に統合する案に分かれる。橋上駅案は、駅の南北を結ぶ立体道路と自由通路を設ける案と、自由通路だけを造る案になった。
 県の担当者は各案には用地取得、鉄道事業者の意向、都市計画の大幅変更などの課題や不確実要素があるとし、「これ以上の絞り込みは不可能」と述べ、委員も理解を示した。
 PI委は、鉄道高架の推進派、反対派の住民が参加したPI勉強会で取りまとめた地域づくりの進め方として、「何も決まらない状態は最も避けるべき」「財政へ配慮し、効率的な事業とすべき」ーなど4項目の提言も、知事に提出することを確認した。
 県は2011年11月にPIを開始し、18回のPI勉強会を開いた。車座談議や会場型情報交換会も行い、延べ約2800人の住民から意見を聞き取った。
 事業方向付け早急に
 (解説)
 県が2年かけて実施した沼津駅付近鉄道高架事業のパブリックインボルブメント(PI)は、結論を一つに絞れないまま終了した。「鉄道の高架化」を進めるのか、「駅の橋上化」に変更するのか。今後は意思決定者の川勝平太知事の判断に委ねられる。
 地元ではPIに対し当初から結論の先延ばしとの批判が強かった。推進派、反対派の訴えが最後まで平行線をたどることは予想されていた。当事者の沼津市やJR貨物が参加しなかったことにも疑問の声が上がった。
 県は県議会で、知事が年内に方向付けする方針を示していた。しかし、PI終盤の10月、知事は「現場を知る職員に任せる」として、方向付けする時期の明言を避けた。
 知事は高架化推進を掲げる一方で、原地区の新貨物駅用地の強制収用は行わないと訴えてきた。知事の考えを含め、PIで残った代替案はいずれも、沼津市、JR貨物など関係者との協議が不可欠になる。推進派も反対派も停滞する市街地の活性化に向けて早期の方針決定を望んでいる。県がどの案で進めるか方針を固めない限り、交渉は始まらない。
(東部総局・豊竹喬)

 ∽沼津駅付近鉄道高架事業事
業主体は県で、2006年に国の事業認可を得た。施行期間は22年度末まで。現計画は、JR東海道線、御殿場線を延べ約5㌔高架化し、13カ所の踏切を除去、幹線道路8路線を立体化する。事業費は787億円で、このうち県と市がそれぞれ約190億円を負担する。高架化には、駅近くの貨物駅の移転が不可欠だが、移転予定地の原地区で地権者の反対があり、用地取得率が7割で止まっている。
《靜新平成25年11月5日(火)朝刊一面》


 沼津駅高架Pl終了
 異なる受け止め
 JR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる住民間の意見対立を解消しようと、県が取り組んできた住民参加型合意形成作業パブリックインボルブメント(PI)が終了した4日、推進派と反対派のPIの結果に対する受け止め方は大きく異なった。
 高架推進の立場でPIに参加してきた「東駿河湾まちづくり研究会」の工藤政則さん(54)は、PI委員会が四つの代替案を川勝知事に提出することに対して、「推進派、反対派が納得できる結論を出すことがPIの目的だったはず。両極端の案が残った結果は、決して成功と思えない」と苦言を呈した。
 こうした声にPI委の石田東生委員長(筑波大教授)は「多様な意見を持つ住民同士が議論を重ね、地域づくりに共通認識を持てた」と強調し、今後は県、沼津市、JR貨物の協議に生かすよう求めた。
 一方、事業の見直しを訴えてきた「郷土を愛する会」の松下宗柏さん(65)は「『高架ありき』でなく、駅の橋上化など、今まで公の場で取り上げられなかった意見を平等に扱ってくれた」と県の姿勢を評価した。その上で、県が事業の方向性をいつ示すのか、スケジュールを明確にするよう注文を付けた。
 県交通基盤部の長島郁夫部長は「できるだけ早急に方向付けしたい」と述べるにとどめた。
《靜新平成25年11月5日(火)朝刊26面》

2013年10月31日木曜日

沼津商工会議所臨時議員総会

 沼津商工会議所臨時議員総会
正副会頭ら人事案を承認
沼津商工会議所は、臨時議員総会を二十九日、ホテル沼津キャッスルで開き、議員六十一人が出席。二十二日に開かれた定例常議員会で総会に上程することが決まっていた会頭、副会頭選任などの役員人事案を承認した。
市川厚会頭、岩崎一雄、秋元一壽の両副会頭、木戸英寿専務理事が留任し、紅野正裕副会頭(沼津信用金庫理事長)、後藤行宏副会頭(ゴトー会長)が新任。
今年は任期満了に伴う議員改選の年で、既に百四十人の議員が選ばれ、その中から四十六人の常議員がこの日選任された。新たな事業所からの七人と同一事業所の中で交代する三人のほか三十六人の顔ぶれは変わらない。任期は十一月一日から三年間。
留任が決まった市川会頭は「多くの会員の支援をいただきながら、東部地域の中心的会議所として職員ともども努力していく」とあいさつした。
報告事項では、既に再編が決まっている十部会について部会長、副部会長人事が示された。この新編成も十一月一日に始まる。
このほか、新会館建設協力金の承諾金額が一億九千百六十万円で、分割払いを決めている事業所もあり、入金済み金額が一億六千四百二十三万円。不足額五千八百四十万円については、引き続き、会報を通じて協力を求めることが説明された。
新会館は現在、二階から四階までの鉄骨組みに着手し、十二月には四階までの鉄骨が組み上がる予定。
新任の紅野副会頭は「市川会頭をはじめ、皆さんの指導のもとに商工会議所と地域経済の発展のために微力ではあるが努力する」、また、後藤副会頭も「私も微力ながら、皆様の協力を得て商工会議所のために働きたい」と、それぞれあいさつした。
《沼朝平成25年10月31日(木)号》







2013年10月29日火曜日

知事発言広がる波紋 地元「責任持ち決断を」

知事発言広がる波紋
 地元「責任持ち決断を」

 県が事業主体のJR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の発言が波紋を広げている。住民参加の合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)で四つの代替案がまとまり、今後は知事の方針提示の判断が焦点になる。ただ、知事は「現場を知る職員に任せる」として、提示時期の明言も避けている。地元からは「知事の責任で決めるしかない」と早期決断を迫る声が強まっている。
 県は11月4日にPIの手続きを監視する有識者のPI委員会の最終会合を開き、PI委は11月中旬に知事に意見書を出す見通し。
 ▼協議の長期化懸念
 代替案は大きく分けて高架化を実施する2案と実施しない2案となった。いずれの案も国や沼津市、JR貨物などと県との調整は避けられず、関係者は「協議に時間がかかる可能性もある。早急に方向性を絞って関係者に示さなければ、事業がさらに遅れる」と危機感をあらわにする。
 ▼職員に全権委任
 知事は25日定例記者会見で4案の受け止めを問われ、「まだ見ていない。(PI委からの)報告を受けてと思っている」と述べるにとどめた。一方で、P1に関わってきた複数の職員の名前を挙げて「全権を委任する」と繰り返し、「落としどころの見通しも持っていると信頼している」などと強調した。
 県は県議会で、「PIの結果を踏まえて意思決定者の知事が年内に方向付けする」と説明してきただけに、知事と担当部局の認識の違いも出ている。
 ▼「公約通りに」
 こうした知事の姿勢に地元は困惑を隠さない。経済団体の関係者は知事が6月の知事選でも「鉄道高架は進める」などと訴えた経過を挙げ「事業の推進を明確に打ち出し、公約を守ってほしい」と求め.る。栗原裕康沼津市長は24日の定例記者会見で、「速やかに判断を」と要請した。
 PIの勉強会に参加してきた男性(50)は「賛成派、反対派とも今の中途半端な状態でいいと思っていない。両者の溝が埋まらない以上、最後は知事の政治判断しかない」と主張し、「今回の議論が生かされなければ、地元住民を冒とくすることになる」と指摘した。
《靜新平成25年10月29日(火)夕刊》

2013年10月25日金曜日

沼津・東椎路大型商業施設計画


沼津・東椎路大型商業施設計画
 「ららぽ-と」優先交渉 地権者団体選定
 大型商業施設の進出が計画されている沼津市東椎路の市街化調整区域の地権者団体「街並を創造する会」は24日までに、進出を希望している複数の企業の中から、最初の交渉相手とする企業として「ららぽーと」を運営する三井不動産を選定した。
 同会にはこれまで、三井不動産と「ラザウォーク」を運営するユニーの2社から具体的な企画書の提示があり、他の2社からも進出の意向が示されていた。同会役員会は、地権者全体の意向や地元企業の活用策、土地の農地転用手続きの協力態勢などを基準に検討し、「ららぽーと」と優先的に交渉を進めていくことを決めた。
 同会によると、三井不動産が提示した「ららぽーと」の店舗面積は約6万平方㍍。テナント数は約200店、駐車台数は約3500台。3千~4千人の雇用を創出するという。
 同会の深沢臣夫会長は「本年度中に具体的な交渉を詰め、5年後には開店できるようにしたい」と話した。
 三井不動産の広報担当者は「計画の実現に向けて、地権者、行政、地元住民と協力し、魅力的な施設を作りたい」とコメントした。

《靜新平成251025()朝刊》

2013年10月24日木曜日

沼津駅Pl 4代替案に絞る

 沼津駅Pl 4代替案に絞る
 勉強会最終会合 住民らおおむね了承
 県は19日、JR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる住民参加型合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)として、住民から意見を聞く勉強会の最終会合を沼津市内で開いた。これまでの意見を踏まえて県が集約した4種類の代替案に対し、住民らがおおむね了承した。県は有識者の助言などを受け、11月中旬にも川勝平太知事に4案を推奨案として提出する方針。
 代替案は「沼津駅付近の高架化」「沼津駅橋上駅」に分かれた。このうち高架化する場合に必要な貨物駅の移転先は「原地区」と「近くの駅に統合」の2パターンを示し、橋上駅の場合は「駅の南北を結ぶ立体道路と自由通路」と「自由通路のみ」を整備する各案となった。
 PIは当初、代替案を一つに絞り込む予定だったが、高架事業の推進派と反対派のそれぞれの住民の意見が最後までまとまらなかった。参加した住民の一人は「推進派、反対派が自由に意見を言い合える場を県に設けてもらえたのはありがたかった」と評価したものの、「事業が進んだという実感は湧かない」と指摘した。
 賛否双方「早く決断を」
 「これ以上、結論を先延ばしにしてはならない」。JR沼津駅鉄道高架事業で県が19日に沼津市で開いたPIの最終勉強会で、高架事業の推進派と反対派の双方の住民から、川勝平太知事に事業の方向性を早急に決断するよう求める声が相次いだ。
 高架事業をめぐり、県は年内に方向性を示す方針を示していた。だが、意思決定者の川勝知事は11日の定例記者会見で「物理的(時間の)問題ではない」と、判断の時期にこだわらない姿勢を示した。
 知事発言に対し、貨物駅移転予定地付近の住民でつくる三区JR貨物駅対策協議会の鈴木正祥さん(73)は二体どこまで延ばそうというのか。(住民を)もて遊ぶようなことはしないでほしい」と苦言を呈す。沼津商工会議所青年部監事の清水英一郎さん(50)も「過去の沼津市長選でも争点になって推進派が勝ってきた。先延ばしによってまちづくりに与えるマイナスの影響は大きい」と指摘する。
 勉強会の開催は今年1月から延べ12回に上る。毎回3時間近く住民が意見を交わした。沼津青年会議所顧問の杉沢教人さん(38)は「これまでの時間を無駄にしてほしくない。遅くとも年内に結論を出してほしい」と訴える。一方、鉄道高架化を見直す沼津市民の会の川口公文さん(66)は「知事の判断を待つより、住民投票で決めた方が、市民の声も反映されるし、時間もかからない」と訴えた。

《靜新平成251020()朝刊》

事務局提出の最終4案を協議
 沼津高架PIプロジェクト合同勉強会の最終回となる第7回が十九日、沼津労政会館で開かれ、メンバー四十四人のうち三十九人が出席し、事務局が四つに絞った代替案について協議。石田東生PI委員会委員長(筑波大教授)と、県交通基盤部の長島郁夫部長ら沼津高架PIプロジェクト推進本部の幹部らが議論の様子を見守った。

 四つの代替案は、事務局が十四を七つにし、さらに絞ったもので、計画通りに鉄道高架を実施した場合の二案と、鉄道高架を行わずに再開発する二案。四案の概要は次の通り。
 【鉄道高架を実施する場合】代替案1 沼津駅周辺総合整備事業をさらに発展させ、原地区全体を新たな拠点地区として位置付け、貨物駅を活用して原地区西側ゾーン全体を整備する。総事業費は一、八七七億円。(以下、総事業費は全て概算)
 代替案2 貨物駅を近傍駅に統合し、沼津駅周辺総合整備事業を発展させて都市機能のさらなる集積を図り、原地区には貨物駅を整備しないで種地(既に買い上げた貨物駅用地)を活用して西側ゾーン全体を整備する。総事業費は一、九三五億円。
 【鉄道高架を行わない場合】代替案3 五〇~一〇〇㍍の幅広自由通路と橋上駅を整備し、車両の南北交通対策としては三つ目ガードと中央ガードに線路を跨ぐ二本のオーバーブリッジを建設する。原地区は貨物駅を整備せず、種地を活用して西側ゾーンを整備する。総事業費は一、三二七億円。
 代替案4 自由通路と橋上駅で課題解決を図り、原地区全体を新たな拠点地区として位置付け、貨物駅を整備しないで種地を活用して西側ゾーンを整備する。総事業費は六九九億円。
 以上の四つの代替案に示された原地区における開発は同じもので、土地区画整理事業や南北道路の新設、公園・グラウンド・スポーツ施設整備、新駅の建設、道の駅整備などで総事業費は三〇七億円。
以下省略。

《沼朝平成251024()号》

2013年10月23日水曜日

大型商業施設進出に対する意見書

中心市街地活性化基本計画事業継続要望書
(大型商業施設進出に対する意見書)


 平成2112月に沼津市が国から認定された沼津市中心市街地活性化基本計画は、向こう5か年の中心市街地のビジョンであり、今日まで、その計画に基づき沼津市および中心市街地活性化協議会等と連携しコンパクトなまちづくりを目指し努力してきたところであります。
 しかし、沼津市立病院東側約11ヘクタールへの大型商業施設の進出は、中心市街地活性化法の大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐという基本方針から逸脱し、沼津市が策定した中心市街地活性化基本計画を根源から揺るがすものであります。
 この沼津市が策定した基本計画は平成273月までとなっており、郊外へ大型商業施設の出店を容認する場合には引き続き国から認定されるのは非常に厳しい状況であります。
 基本計画の終了は、今後、中心市街地に対し国からの支援が非常に厳しくなる他、現在、取り組んでいる様々な中心市街地の活性化事業に物質的にも精神的にも大きな影響が生じるところであります。
 よって沼津市においては方針を転換せず中心市街地活性化基本計画の国へ向けての積極的な事業継続を切望いたします。

 このようなことから、沼津市商店街連盟としては大規模商業施設の進出については反対いたします。

沼津商議所 市川会頭を再任 副会頭2人新任

 沼津商議所 市川会頭を再任
副会頭2人新任
 沼津商工会議所は22日の常議員会で、任期満了を迎える正副会頭人事を内定した。会頭に市川厚氏(79)=石川建材工業相談役=を再任し、新任副会頭には、沼津信用金庫理事長の紅野正裕氏(60)とゴトー会長の後藤行宏氏(61)を選任することを決めた。29日の臨時議員総会で正式決定する。任期は11月から3年間。
 現在の副会頭は、税理士法人イワサキ代表社員の岩崎一雄氏(73)と秋元水産会長の秋元一寿氏(66)を再任する。桃中軒会長の宇野統彦氏(68)と山中兵右衛門商店社長の山中利之氏(66)は退任する。木戸英寿専務理事(65)の再任も内定した。

《靜新平成251023()朝刊》

2013年10月20日日曜日

中心市街地活性化と郊外開発 両立は可能か、藻谷ゼミで考える

中心市街地活性化と郊外開発
 両立は可能か、藻谷ゼミで考える
 中心市街地の活性化について商業者、市民の目線から考えようという藻谷ゼミがアーケード名店街のSIDAM事務所で三回にわたって開かれ、日本総研調査部主席研究員の藻谷浩介氏が講師を務めた。昨年に続くゼミで、今回は郊外への大型店出店が計画されている折、これまで行政などが進めてきた中心市街地活性化(中活)のための道筋はどうなるのか、コンパクトシティ形成との整合性はあるのか、藻谷氏の解説、他都市の事例紹介などとともに、参加者からの質問に藻谷氏が答え、あるいは参加者が意見発表しながら、沼津があるべき、まちづくりの方向を探った。
 国が目指すコンパクトシティ
 都心回帰への支援拡大へ
 第1回ゼミ主に藻谷氏が他都市の例に触れながら、また数字も挙げて解説する形で進められた。
 藻谷氏は、はじめに「大型店を造ったらこうなる、造らなかったらこうなるというデータがある」としながら、なぜ中活が必要か、なぜ国が進めているのかに言及。
 地方都市は高齢化が進み、都市政策は大きな転機を迎えている。このため、鉄道の駅を中心に半径一㌔の中に人と都市機能を集める。
 財政難の時代、人が集まっている所に重点的に投資しようというのが国の考えで、現在の中心市街地活性化法(中活法)では、全国どこの都市もうまくいっていないため、これを、さらに強化し、病院や商業施設の中心部への誘導をしやすくしようと、固定資産税の優遇など抜本的な見直しを行い、コンパクトシティ実現への支援策を拡充する方針でいる。
 これについて藻谷氏は「国主導で全国に広げる手段に転換するもので、国も本腰を入れてやる気だ」と指摘。それに対して商業施設を増やしていったら、どうなるのか。「コップに入れた湯は熱いが、こぼして広がった瞬間、一気に冷めてしまう」
 店を増やしても売り上げは減る。売り場を薄く広げた分、地域の活力は落ちる。市全体の雇用も減っていく。それは国の商業統計、雇用統計が示す数字に表れている。
 では、なぜコンパクトシティは進まないのか。参加者に問い掛けると、「金も時間もかかる」「(やろうとしても)意見が割れる」「どこ(の都市)でも同じようなものになってしまい(金太郎あめ)、おもしろくない」といった声が上がった。
 これに対して藻谷氏は、どんなものがあれば金太郎あめにならないか、それぞれの都市が持つ象徴的なものの必要性を指摘した。
 かつて沼津にも城があったが、完全になくなってしまった。熊本市のように、城を残して市街地が発展し、鉄道の駅は市街地から離れている都市もあるが、沼津のように鉄道の駅が市街地にあって機能している都市は珍しいという。
 そして、沼津にとってのシンボリック(象徴的)なものとして狩野川を挙げた。「まちのど真ん中を、街並みのすぐ横を大きな川が流れている所なんて全国にはない」
 さらに、全国二十万規模の都市で沼津は、どの程度のレベルか、藻谷氏は「全国平均よりましだが、現状に手を打たないので平均に向けて下降中」だとし、中京圏の三十五万都市、北海道東部の中心的な二十万都市の衰退の様子をスクリーンに映しながら、「このまま放置すれば沼津の十年後の姿」だと指摘。
 「その地域のやる気のなさ、意識の低さがそうさせてしまう」とし、北関東のある都市の例を挙げ、大型店一つの出店を契機に既存の商業施設が閉鎖されていった状況を説明した。その一方で山口県周南市や長野県飯田市における、まちづくり会社の取り組みを紹介。特に、飯田市の場合は、コンパクトシティなどという考え方のない時代、税理士や建築士が中心となって「まちづくりカンパニー(まちカン)」を立ち上げた。行政の支援はなかったが、裏で応援してくれる市の有力幹部がいて、定年退職を迎える前には後進を育てていた。
 まちカンはゼネコンを入れることなく、設計から全てを自分達でやり、市街地の再開発に成功。そのほかにもミニ開発や空きビルの再開発を手掛け、藻谷氏によれば、「国は飯田を見てコンパクトシティを言い出した」のだという。
 各地で都心づくりに努力
 民間主導でまちづくり会社
 藻谷氏は講義の後、参加者に発言を求めた。
 「郊外にショッピングモールなどが出来ると、消費者にとっては便利になる。そうした消費者行動と中活を一緒に考えることはできないか」との質問に対して、藻谷氏は「(大型施設の建設によって)沼津と清水町を合わせて売り場面積は増えたが、売り上げは減り、雇用も減った。全国的に商業施設を造る動きが止まった。イオンなど、以前は全国に出店を続けたが、少し前までとは動きが違う。沼津への出店が言われている大型店は、既存の大型店から客を取れると算段している。『後出しジャンケン』だ。誰かが便利になっても誰かが不便になる。郊外型店によって市街地がだめになるだけでなく、郊外も市街地と同じになる。都市が衰えているところに、都市の実力以上に店を出すと、その実力以上に店を減らすことになる」と応じた。
 さらに、「郊外に大型施設を造るということは、基盤整備が必要となり、それだけ税金を投入することになる。下水道整備には多額の費用を要するが、補助金がほとんど。だから、国は郊外に施設を造りたくない。郊外に施設を造るなら、これだけ税金がかかるということを納税者に開示しなければならない。大型施設が、ただで出来るわけではなく、事業者側がどのくらい負担し、行政が幾ら出すのか、これをはっきりさせなければならない」との考えを示した。
 第2回ゼミ前回ゼミでも紹介された山口県周南市のまちづくり会社「まちあい徳山」(周南市は徳山市を中心に市町合併で二〇〇三年に誕生した)や、神奈川県小田原市の合同会社「まち元気小田原」、石川県金沢市の「金沢商業活性化センター」について説明。
 前二者は民間によるもので、いずれも土地の有力者の二代目が代表を務め、まちあい徳山は三十代、四十代が中心になって運営している。金沢は行政によるものだが、十数年の歴史があり、やはり若手が実働部隊となって動いているという。
 このことから藻谷氏は、まちづくりには若い世代の働きが必要であることを指摘。「いなければ人材を育てる」ことを求めた。
 また、飯田市のまちカンは、市街地のごく一部しか再開発していないが、「市が関わると(公平性の見地から)全般的に見なければならない」(藻谷氏)のに対して、民間がやることによって集中的に投資ができた。
 解説の後、参加者から意見や質問を募ると、前回同様、「郊外に大型店が出来る話を聴いてうれしかった。障害のある人にとっては、身近に便利な施設が出来ることはありがたい。中心市街地の活性化と郊外開発の両方ができないか」といった意見があった。
 藻谷氏は「障害のある人が町の中で、ごく普通に暮らせることが大切」だとして、千葉県佐倉市で高齢者のグループホームと学童保育施設が一緒に運営されている事例を挙げ、「市街地でも可能」だと指摘。
 これに加えて、同ゼミ主催者側代表が市街地活性化と郊外開発の両立に関して、「法律的にはできるかもしれないが、財政を考えると無理。中心部(の基盤整備)は民間投資、行政投資共に既に終わっているが、郊外開発に必要となる行政コストを考えると福祉に回すことができなくなる。投資の仕方を間違えると弱者にしわ寄せがくる」として、中心部への投資と郊外開発への投資で費用の違いを数値で示した。
 また、中心市街地活性化について検討、研究する組織として「中心市街地活性化協議会」があり、中心的な役割として「タウンマネージャー」がいるが、藻谷氏は「タウンマネージャーは、それにどっぷり浸かった人でなければ務まらない」として、専門的に担当する人材の必要性を説いた。
 「中心市街地の活性化には賛成だが、どうしたらいいか、となると分からない」という意見には、「東海大学が駅の裏にでもあれば若い人が集まったのだが」とし、この点については前回ゼミで「三島には先見の明がある。駅のすぐ北側に大学が出来、高校もある。教授達も(東京などから)通って来られる」と指摘していた。
 藻谷案として「空いている場所に、かつて(中心部から)出て行ったものを一つずつ戻す。市役所機能や、思いもかけないものに『広場を戻す』というのがある」として新潟県長岡市の例を紹介。
 同市は市役所を長岡駅前に造り、「シティホールプラザァオーレ長岡」と名付けた。駅とは歩道橋でつながり、議場はガラス張り。施設中央にイベント広場があり、奥にはアリーナ。幼稚園児らの遠足の場所ともなり、人が集まるようになった。
 藻谷氏は「行政がやる気にならなければできることではない」と語った。
 第3回ゼミこの回では、まず中心市街地活性化基本計画について市の担当者が解説。同計画では「定住人口」「交流人口」の確保を目指し、九十二の主要な取り組みを掲げたことなどを説明した後、参加者からの質問や意見を受け付け、それに対して藻谷氏がコメントやアドバイス。
 最初に発言した男性は文化と歴史の視点から、まちづくりを考えることが大切だと主張。次の男性は「中心市街地が、どんどんつまらなくなっている。人口を増やそうという政策が目に見えてこない。イベントで一時的な人集めはしているが、人口を集めていくだけの魅力がない。教育、医療など他と違うものが無ければ人は集まって来ない」と手厳しい。
 藻谷氏は「計画は、市が実践するものとして策定された。しかし、数値目標や期待はあっても実践のための手段、実行方法がない。『(にぎわう)沼津港と連携』と言っても、誰が、どうするかがない」と課題を指摘する一方、沼津の中心部には全人口の十人に一人が住んでいることに対して、「全国平均では五十人に一人だということからすれば驚き」だとして沼津の潜在的な力を示唆。
 「計画が機能するには実行部隊がいなければ実現できない。現状認識だけでは前に進まない。かつて沼津は、そんなに大きなまちではなかったが、住民が頑張って大きくなってきた」などとして、行政にも市民にも前向きな姿勢を求めた。

《沼朝平成251020()号》