2015年1月29日木曜日

高架事業で再び公開質問 さわやか沼津県の回答の疑問洗い出し

高架事業で再び公開質問
さわやか沼津県の回答の疑問洗い出し
 さわやか沼津2012(松下宗柏代表)は二十八日、県庁を訪れ、川勝平太知事宛ての公開質問状を県交通基盤部の増田和仁理事に手渡した。同会が昨年十一月二十八日に提出した公開質問状に対して十二月九日付で行われた回答について、疑問点などを洗い出し、改めて提出したもので、二月十日までの回答を求めている。
 同会では、今回の公開質問状提出にあたり、最近の川勝知事、難波喬司副知事の発言、同会に対する見方を批判し、意見一表明している。
 まず、知事が今月十三日の定例記者会見で、交通基盤部の沼津駅付近鉄道高架事業担当課長を同席させ、同会が「政治団体」であることを説明させた、と伝えられたことに、「知事の豹変ぶり」に「驚き」と「戸惑い」を感じたとし、「そもそも知事が事務方を定例記者会見に同席させて発言を促すこと自体、きわめて異例なことだと聞いている」としている。
その上で、同会は二〇一二年の沼津市長選で、公職選挙法に墓づき、高架事業見直しを訴えた候補者を支援するため、県選管に登録された団体であり、このことを隠すものではないこと、高架事業見直しを候補者に託した責任があること、さらに、県が行った意見聴取のPIに積極的に参加し、その際、県担当者も同会が県選管に登録された政治団体であるとの認識を持っていたはずであることを指摘。
 「今般、突然、これまでの信頼関係を反古にし、私どものような非力な市民団体について、常軌を逸した形で言及された。なぜ、このようなことをされたのか理解できない」とし、「今回の会見は、県民を萎縮させ、県民の県政参加を阻害する結果にもなる点で遺憾であり、川勝県政の変質を残念に思う」と表明している。
 一方、現貨物駅移転後の跡地に「サッカー場」、原の新貨物駅は「有事のターミナル」だとする知事発言、高架事業は「コンパクトシティ形成のため」などとする副知事発言に言及。
 「具体的計画や事業費についての裏付けがないまま『貨物駅移転、事業推進』へと世論を誘導しようと躍起になっている。合理性も整合性もないまま、なぜ、ここまで躍起になるのか疑問」だとする。
 とりわけ「コンパクトシティの形成のため」との理由付けには、「『沼津駅周辺の交通渋滞の解消』という理由が消滅するとみるや、取って付けたように言い始めたものであり、その目的のためには、むしろ高架は阻害物であり、『橋上駅十南北自由通路』で十分。工期も事業費も大幅に削減できる」と主張している。
 以上の考えを明らかにした上で、次のように尋ねている。
【事粟の公益性】①高架事業が「人口流出に歯止めをかける」ものであるとの回答に対して=それが可能となる根拠を示してほしい。仮に高架事業を始めたとして、長期の工事期間中、人口流出が続く。
 人口流出対策は、高架ではなく、雇用の場の確保など別の視点から取り組むべきではないか。
②高架事業の最大目的は「沼津駅付近三カ所のガードにおける交通渋滞を解消することで、その経済効果はきわめて大きい」とする回答に対して=現状でも既に、鉄道と道路は立体交差になっている。テレビやラジオの「道路情報」で当該個所の「交通渋滞」が報じられたことは、ほとんどない。
 現在では交通理境が変化していて、当初の事業目的は消滅し、投資額に見合う効果があるとは考えられない。
 計画時と現在の交通量の変化、人口減少を加味した将来予測から、投資効果算定についての具体的計数を示してほしい。
 ③「都市機能を集約した拠点地区を形成し」とする回答に対し=沼津駅周辺に、どのような機能の導入を想定しているのか。
 副知事や沼津市は、「高架事業によるコンパクトシティの形成」を唱えているが、具体性もなく、実現可能性に言及のない夢のようなことで、説得力がない。
 駅南北の自由通路と橋上駅整備によるコンパクトシティ形成の方が、工期短縮、経費節減ができ、費用対効果で勝る。南北自由通路と橋上駅では、なぜだめなのか、理由を示してほしい。
 ④回答が示したPIプロジェクトの記述に対して=PIプロジェクト四案に対する具体的評価が欠落している。「関係機関、関係者と意見交換の上意思決定」とあるが、このプロセスに明瞭性がない。
 PIプロジェクトは、透明性が重んじられ、公開の場で行われたものであり、四案の評価について、見解と意思決定の経緯を開示してほしい。
 ⑤「南北自由通路では問題解決できない」とする回答に対して=東静岡駅、清水駅、藤枝駅、袋井駅などでは自由通路の設置が進んでいる。沼津は「南北自由通路では問題解決できない」とする根拠を示してほしい。
 高架完成までの二十年以上の間、乳幼児、老人や障害のある人など交通弱者に現状の不便さを強いることを、どのように考えているか。
 【事業費】①沼津市のホームページによると、人口減少、事業所の転出が続くにもかかわらず、今後も税収が増えることを想定している。
 過去十数年間で商業販売、工業出荷額が減少。これに伴い法人市民税が激減し、従業員数も減って納税者の減少につながっている。遠くない将来において高齢者人口が生産年齢人口と、ほぼ同じになることが予測され、市民税収入の減少傾向が強まる中で、沼津市の税収が増加するとする根拠を示してほしい。
一方で、高齢者増加による福祉民生費の増加、公共施設の維持管理費が急増するという要素が織り込まれておらず、大型事業を前にして沼津市の財政見通しは、ずさんで甘いものとなっている。きちんと評価する意向はないか。
 ②PI資料によれば沼津駅周辺総合整備事業の全体事業費一、九九八億円のうち、国の負担七六四億円(三八%)、県の負担三四三億円(一七%)、市の負担七四〇億円(三七%)、その他の負担一五一億円(%)となっているが、国の公共事業予算の優先配分は東日本大震災復興だとされており、高架事業への配分は縮小延長され、工事が延々と続くことが予想される。
 沼津市の事業費の大部分は市債の発行でまかなわれるため、銀行利子が加算されて、大幅増額となる。県は、国や市の事業負担分を肩代わりする覚悟はあるのか。
 【貨物駅の原地区移転について】①原の新貨物駅は「荷役作業施設のある貨物駅でも荷役作業が少なく、実質的には待避線」だとする回答に対して=詭弁である。地権者達は、貨物駅の使用目的を問題にしているのではなく、大切な土地を貨物駅用地にされること自体を問題にしている。今後も詭弁を続けるつもりなのか。
 ②「環境負荷のない貨物駅」「静かな貨物駅」だとする回答に対して=そんな駅は存在せず、これらの詭弁も続けるつもりか。 
③「有事の際の拠点」だとする回答に対して=震災へは一刻も早く対応すべきだが、東日本大震災でも分かるように、鉄道は地震や津波に対して脆弱(ぜいじゃく)であり東海地震の震源域内にある鉄道貨物駅が防災拠点となりえないと考える方が常織的。拠点整備を急ぐのであれば、現沼津貨物駅を改良して対処する方が、工期も経費も大幅に削減できる。
 なぜ、現征の沼津貨物駅でなく、原地区移転に固執するのか、理由を明らかにしてほしい。
 ⑤移転用地の地権者は現在、(既に買収した土地の所有者である)沼津市と、「貨物駅に土地を売らない」地権者の二者。
 約四十軒の反対地権者達は意思も結束も強固で、協力はもちろん、切り崩しも不可能。「強制収用」も現状では無理があり、本体事業の見直しにより貨物駅移転を変更することが残された選択肢だと思うが、どうか。あるいは「説得失敗。強制収用準備」という沼津市の轍を踏むつもりなのか。
(沼朝平成27129日号)



0 件のコメント:

コメントを投稿