地方都市に「居住誘導区域」
市街地活性化法改正 郊外での建設抑制も
政府は17日、人口減少や高齢化が進む地方都市で住宅や商業、公共施設を中心部に集める「コンパクトシティー」構想を全国で推進するため、本格的な自治体支援に乗り出すことを決めた。「居住誘導区域」を指定し、容積率の緩和や郊外での建設抑制などを通じて街の機能を集約、郊外から移り住んでもらうよう促す。自治体の財政が厳しさを増す中、衰退した中心部を便利で活気のある街に再生する狙い。国土交通省は来年の通常国会に、都市再生特措法改正案を提出する。
改正案によると、市町村は地元の商業、福祉などの関係者から意見を聞いた上でマスタープランを作成、住宅を集約する居住誘導区域を指定する。さらにこの区域内に、サービス施設の拠点エリアとなる「都市機能誘導区域」を設定。自治体の判断で、土地の面積に対する建物の大きさの上限を定める容積率を緩和できるようにし、マンショツやスーパー、病院、介護施設などを集約した大規模施設を建設しやすくする。
施設を運営する会社などが郊外の土地、建物を売り、都市機能誘導区域内に移転する場合は、売却益の一部について課税を先送りする。都市機能誘導区域で居住地を売り、用地を提供した人に対しても、売却益にかかる税金を軽くする。
《靜新平成25年12月18日(水)朝刊》
2013年12月18日水曜日
「ららほーと進出と商店街の再生は両立できるか」 渡辺利明
「ららほーと進出と商店街の再生は両立できるか」 渡辺利明
十二月五日付本紙に東椎路の商業施設問題について私見を述べましたが、本稿では、もう少し掘り下げて皆様と考えてみたいと思います。
日本は人口減少・少子高齢化時代を迎え、国勢の将来が危惧される時代に突入しています。沼津は東海道の、風光明美な恵まれた立地にありながら近隣市町に比べて人口の減少、経済活動の衰退ピッチが急速です。
さまざまな分野の人達と会話を交わせば、沼津の将来に対する危機感が満ち満ちています。しかし残念ながら、この声が一つの声に結集していきません。かつて石油コンビナート問題などで大きなパワーを発揮し全国の注目を集めた人遠も、高齢化のためか、今は声もない状況です。
東椎路への、ららぽーと進出問題は、このような沼津の将来を決定付ける重要な課題だと思っています。沼津市は「中心市街地活性化基本計画」なるものを推進してきましたが、現在まで実績は上がらず、現実は、全く逆の方向に進行しつつあります。
大型店は次々と去り、特に丸井の閉店で街には若者が激減し、最後の砦、西武も撤退してしまいました。西武は数年前にも撤退の報道があり心配していましたが、市当局は、これへの対策を何ら手掛けることなく、撤退の日を迎えてしまいました。
現在の社会・経済環境では、大型小売店で中心街を再生させることは無理であることが証明されています。全く別の視点で人々を集める仕掛けが必要だと思います。この仕掛け作りが成功し人々が集うようになれば、自ずと中小の小売り、飲食などの店も周辺に集まるようになります。
仕掛けの一番手っ取り早いのは、市役所などの官公署、病院、文化施設、体育施設などを駅周辺にシフトすることだと考えます。「コンパクトシティ」を目指す先進都市は、これらの施策を巧みに取り入れて街づくりを進めています。
中心街へ、いかにして人々を回遊させるか、各市町の知恵比べとなっています。国は十年以上前から「まちづくり三法」などで、この方向への街づくりを誘導しようと、さまざまな予算措置を講じています。
そんな中で、ららぽーと出店問題が出てきました。この話に疑問を抱き、二〇一一年に十年計画でスタートした「第四次沼津市総合計画」なるものを見直してみましたが、進出が予定される地に、このような施設を誘致することは、うたわれていません。ごく直近に突然浮上した計画のようです。そもそも市の「総合計画」なるものは、相当慎重な検討の結果、策定されたものと考えていたのですが、それほどのものではないようです。
ところで、ららぼーとと商店街再生は両立するのでしょうか。沼津に何十回となく訪れている日本総合研究所の藻谷浩介氏は、人口減少時代と経済活動の関係を分析して
います。
それによれば、大型店舗をいくら増やしても全体的な消費が増加するわけではないことを数字で実証しています。それが証拠には、全国の百貨店、スーパーの売り上げは減少傾向が続いており、国民の食品、衣料などの消費金額が増えることはありません。
新店が進出すれば、その周辺の商業施設の売り上げが減少し、やがては閉店に追い込まれるだけです。以前から噂のある大型スーパーや原地区の商業施殴は消えていくか、大幅縮小に追い込まれるでしょう。これが小売業の実態です。
かつて小さなマグロ丼店を経営し閉店した経験のある栗原裕康市長には、このあたりのことはよく分かっているでしょう。敗れたものは去るしかないのが資本主義社会です。
それでは、ららぽーとと商店街は共生できるのでしょうか。私は人々の需要の絶対額が伸びるわけではないので、まさに「無いものねだり」だと思います。そんな手品のようなことは期待できません。
沼津市の幹部は、この両立は可能だとしていますが、まず疲弊した商店街を再生させてから、その種の発言はしていただきたいと思います。イーラdeの失敗(藻谷氏は計画段階から無謀な投資だと指摘していた)に始まって、市の行政には、このところチグバグさが際立っています。
一方、市内には幾つかの商店街組織があり、藻谷氏から「街づくり」について何回も学んできているのに、この問題について一向に声を上げない点を不思議に思っています。まさに自分達の生活権がかかっているのですから。あるいは、現在の店はたたんで、ららぽーとに出店させてもらえればよいと考えているのでしょうか。
今回の問題については沼津の将来に禍根を残さないよう、時代の大きな流れや周囲の環境変化を見回し慎重に検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。(下石田)
《沼朝平成25年12月18日(水)寄稿文》
2013年12月11日水曜日
沼津まちづくり会社 中間決算で初黒字
沼津まちづくり会社 中間決算で初黒字
JR沼津駅前の再開発ビル「イーラde」を運営する沼津市出資の第三セクター「沼津まちづくり会社」(久保豊社長)は10日、2013年9月甲間決算を発表した。売上総利益は66・8%増の3千万円で、380万円の純利益を出した。同社の中聞決算の黒字は初めて。
店舗賃貸事業では、09年度から取り組んでいる経営改善計画に基づき、フロアのリニューアルを継続した。カフェ併設のべーカリーショップなど有力テナントを誘致した結果、売上高は前年同期比3・9%増の1億8200万円となった。
駐車場運営事業は、売上高が5700万円(同14・1%減)に減ったものの、運営を駐車場経営専門会社に委託するなど売上原価を抑え、売上総損失は前年同期より440万円減って570万円になった。全事業の累積赤字は2億5800万円に縮小した。
同社の経営改善計画は本年度が最終年度に当たる。担当者は「目標としている14年3月期決算の単年度黒字化も達成できそう」との見込みを示した。
《靜新平成25年12月11日(水)朝刊》
JR沼津駅前の再開発ビル「イーラde」を運営する沼津市出資の第三セクター「沼津まちづくり会社」(久保豊社長)は10日、2013年9月甲間決算を発表した。売上総利益は66・8%増の3千万円で、380万円の純利益を出した。同社の中聞決算の黒字は初めて。
店舗賃貸事業では、09年度から取り組んでいる経営改善計画に基づき、フロアのリニューアルを継続した。カフェ併設のべーカリーショップなど有力テナントを誘致した結果、売上高は前年同期比3・9%増の1億8200万円となった。
駐車場運営事業は、売上高が5700万円(同14・1%減)に減ったものの、運営を駐車場経営専門会社に委託するなど売上原価を抑え、売上総損失は前年同期より440万円減って570万円になった。全事業の累積赤字は2億5800万円に縮小した。
同社の経営改善計画は本年度が最終年度に当たる。担当者は「目標としている14年3月期決算の単年度黒字化も達成できそう」との見込みを示した。
《靜新平成25年12月11日(水)朝刊》
2013年12月10日火曜日
沼津まちづくり会社(イーラde運営会社)が減資
沼津まちづくり会社(イーラde運営会社)が減資
総務経済委員会では、沼津駅前の大型複合商業施設「イーラde」を運営する沼津まちづくり株式会社の減資について商工振興課の真野正実課長が報告。
同社の資本金二十三億円を一億円に減資するのもので、減資分の二十二億円で利益剰余金のマイナス(赤字)二億六千二百万円を相殺し、残り十九億三千八百万円が資本余剰金となる。
資本金が一億円になることで、同社は会社法が定める資本金五億円以上の「大会社」ではなくなるため、法人監査機関などの設置が任意となり、組織のスリム化と義務的経費の削減が見込まれるようになる。また、税法上でも中小企業者とみなされ、法人事業税の外形標準課税の対象外となるほか、法人税など税負担が軽減される。
二十五年度決算では単年度黒字が見込まれることや、二十六年度以降に固定資産税の軽減適用期間が終了することなどが、今回の減資措置実施の理由だという。
今回の減資は帳簿上の形式的減資であるため、同社の純資産額についての変動はない。沼津市は同社に十二億九千三百五十万円を出資している大株主だが、減資による株主への影響もない。今後、臨時株主総会での議決を経て実行される。
《沼朝平成25年12月10日(火)号より》
資本金を減資へ 沼津まちづくり会社
沼津市が出資する第三セクターで、JR沼津駅南口の再開発ビル「イーラde」を運営する「沼津まちづくり会社」(久保豊社長)は9日、資本金を23億円から1億円に減資する方針を明らかにした。近く臨時株主総会で決議する。市が同日の市議会総務経済委員会で説明した。 本年度中に、会社財産の払い戻しを伴わない無償減資の手続きを済ませる予定。資本金の差益で2億6200万円の累積赤字を相殺し、残る19億3800万円を純資産の資本剰余金として計上する。
市の説明によると、減資により、法人監査費などの義務的経費を削減できるほか、法人事業税の外形標準課税(年間約490万円)の対象外にもなる。
同社はイーラde開業以降、赤字計上が続いたが、09年度から始めた経営改善により、14年3月期決算で初めて単年度黒字を達成できる見込み。
担当者は「組織の見直しや経費削減をさらに進め、財務体質の強化を図りたい」としている。
《靜新平成25年12月10日(火)朝刊》
総務経済委員会では、沼津駅前の大型複合商業施設「イーラde」を運営する沼津まちづくり株式会社の減資について商工振興課の真野正実課長が報告。
同社の資本金二十三億円を一億円に減資するのもので、減資分の二十二億円で利益剰余金のマイナス(赤字)二億六千二百万円を相殺し、残り十九億三千八百万円が資本余剰金となる。
資本金が一億円になることで、同社は会社法が定める資本金五億円以上の「大会社」ではなくなるため、法人監査機関などの設置が任意となり、組織のスリム化と義務的経費の削減が見込まれるようになる。また、税法上でも中小企業者とみなされ、法人事業税の外形標準課税の対象外となるほか、法人税など税負担が軽減される。
二十五年度決算では単年度黒字が見込まれることや、二十六年度以降に固定資産税の軽減適用期間が終了することなどが、今回の減資措置実施の理由だという。
今回の減資は帳簿上の形式的減資であるため、同社の純資産額についての変動はない。沼津市は同社に十二億九千三百五十万円を出資している大株主だが、減資による株主への影響もない。今後、臨時株主総会での議決を経て実行される。
《沼朝平成25年12月10日(火)号より》
資本金を減資へ 沼津まちづくり会社
沼津市が出資する第三セクターで、JR沼津駅南口の再開発ビル「イーラde」を運営する「沼津まちづくり会社」(久保豊社長)は9日、資本金を23億円から1億円に減資する方針を明らかにした。近く臨時株主総会で決議する。市が同日の市議会総務経済委員会で説明した。 本年度中に、会社財産の払い戻しを伴わない無償減資の手続きを済ませる予定。資本金の差益で2億6200万円の累積赤字を相殺し、残る19億3800万円を純資産の資本剰余金として計上する。
市の説明によると、減資により、法人監査費などの義務的経費を削減できるほか、法人事業税の外形標準課税(年間約490万円)の対象外にもなる。
同社はイーラde開業以降、赤字計上が続いたが、09年度から始めた経営改善により、14年3月期決算で初めて単年度黒字を達成できる見込み。
担当者は「組織の見直しや経費削減をさらに進め、財務体質の強化を図りたい」としている。
《靜新平成25年12月10日(火)朝刊》
2013年12月5日木曜日
「JY」沼津の悲劇 渡辺利明
「JY」沼津の悲劇 渡辺利明
先月二十五日の衆院決算委員会で、地方都市再生策について論戦が交わされていた。政府委員はコンパクトシティの実現を通じて斜陽化した地方都市の再生を図りたい、と国の方針を説明していた。これは郊外に拡散した諸施設を市街地に再集結して、人々の回帰を通じて市街地再興を図ろうとする「まちづくり三法」の目指す方向である。
戦後、沼津に限らず各地方都市は、駅周辺などの商店街を交流させることにより地域経済の発展を支えてきた。我が沼津も戦災後の駅前にヤミイチ(闇市)が起こり、やがてアーケード名店街が完成し西武百貨店も進出、全国有数の商都に発展した。
しかし、自動車時代の到来、近隣市町の興隆、郊外型店舗が増加する時代となった。また、病院、諸機関が郊外へ移転してしまったことも大きい。これらのことから旧市街の求心力は急速に弱まり、各地の地方都市中心部の斜陽化が進んだ。
このような事態を立て直そうと、国は一九九八年、いわゆる「まちつくり三法」を制定し、衰退する中心市街地の活性化を進めることになった。これは郊外へ拡散した諸施設を改めて街中に戻し、中心市街地を活性化しようとするもので、いわゆる「コンパクトシティ」の実現を目指すものだ。
時代の流れは明らかに、この方向にある。
このような中で、本市では東椎路への大型商業施設誘致問題が表面化した。地権者達は老齢化も進み農業後継者もなく、当然、農地の地代稼ぎを考えるのだろうが、郊外への商業施設誘致は現在の日本が目指すまちづくりの方向性とは全く異なるものだ。
コンパクトシティを目指す方向に水を差すものと言わざるを得ない。土地の有効活用は別の観点で考えるべきものだ。この商業施設計画に沼津市は乗り気のようだが、「JY」=時代が読めない=全くの時代錯誤の施設と言わざるを得ない。米国には「ウォルマート現象」という言葉がある。ウォルマートは世界一の小売業で、世界各地に進出。低価格(エブリデイロープライス)を武器に米国の小売業界を席巻している。
同社が進出してくると、その地域の既存スーパー、小売店は多くが閉店に追い込まれ、そして、周辺は廃墟になっていく。スーパー業界に身を置いていた頃、米国視察で、このようなショッピングセンターをいくつも見てきた。
日本総研の藻谷浩介氏が指摘するように、日本は既にオーバーストア状況にある。人口減少時代を迎え消費が増えない中で、各企業が一定のパイを奪い合っている状況が続く。東椎路に大型商業施設が出来、そこに一定の売り上げが集まり、雇用が生まれたとしても、その周辺地域のスーパー、小売店が閉店に追い込まれるだけで、地域全体の需要が増加するわけではない。
また、三菱地所が経営する御殿場アウトレットを見ても、進出した外部資本が儲けているだけで、駅周辺の商店街ではスーパー、小売店の閉鎖が加速し、御殿場市内への恩恵は全くない。
先頃、商店街連盟に加わる各商店街の代表が、この問題について危機感を抱き、栗原裕康市長と面談したようだが、長年、沼津の発展を支えてきた商業者の死活問題として深刻に検討すべきだ。
ただ、東椎路への大型商業施設出店問題として反対を唱えるのであれば、多くの市民の賛同を得るのは難しいかも知れない。
しかし、沼津駅南北交通問題の解決など、これからの沼津の抜本的まちづくりに向けた建設的な議論を重ね、商店街としての自助努力を進めるならば、多くの支援を得られよう。沼津の街をなんとかしたいという声は、市内に満ち満ちているのだから。
バブル期に構想され、一歩も進められない鉄道高架事業にしがみつき、今また大きな流れに逆らう東椎路の大型商業施設誘致に踏み出そうとしている「JY沼津」=時代が読めない沼津=は、沼津市民にとって大きな悲劇と言わざるを得ない。(下石田)
《沼朝平成25年12月5日(木)投稿記事》
先月二十五日の衆院決算委員会で、地方都市再生策について論戦が交わされていた。政府委員はコンパクトシティの実現を通じて斜陽化した地方都市の再生を図りたい、と国の方針を説明していた。これは郊外に拡散した諸施設を市街地に再集結して、人々の回帰を通じて市街地再興を図ろうとする「まちづくり三法」の目指す方向である。
戦後、沼津に限らず各地方都市は、駅周辺などの商店街を交流させることにより地域経済の発展を支えてきた。我が沼津も戦災後の駅前にヤミイチ(闇市)が起こり、やがてアーケード名店街が完成し西武百貨店も進出、全国有数の商都に発展した。
しかし、自動車時代の到来、近隣市町の興隆、郊外型店舗が増加する時代となった。また、病院、諸機関が郊外へ移転してしまったことも大きい。これらのことから旧市街の求心力は急速に弱まり、各地の地方都市中心部の斜陽化が進んだ。
このような事態を立て直そうと、国は一九九八年、いわゆる「まちつくり三法」を制定し、衰退する中心市街地の活性化を進めることになった。これは郊外へ拡散した諸施設を改めて街中に戻し、中心市街地を活性化しようとするもので、いわゆる「コンパクトシティ」の実現を目指すものだ。
時代の流れは明らかに、この方向にある。
このような中で、本市では東椎路への大型商業施設誘致問題が表面化した。地権者達は老齢化も進み農業後継者もなく、当然、農地の地代稼ぎを考えるのだろうが、郊外への商業施設誘致は現在の日本が目指すまちづくりの方向性とは全く異なるものだ。
コンパクトシティを目指す方向に水を差すものと言わざるを得ない。土地の有効活用は別の観点で考えるべきものだ。この商業施設計画に沼津市は乗り気のようだが、「JY」=時代が読めない=全くの時代錯誤の施設と言わざるを得ない。米国には「ウォルマート現象」という言葉がある。ウォルマートは世界一の小売業で、世界各地に進出。低価格(エブリデイロープライス)を武器に米国の小売業界を席巻している。
同社が進出してくると、その地域の既存スーパー、小売店は多くが閉店に追い込まれ、そして、周辺は廃墟になっていく。スーパー業界に身を置いていた頃、米国視察で、このようなショッピングセンターをいくつも見てきた。
日本総研の藻谷浩介氏が指摘するように、日本は既にオーバーストア状況にある。人口減少時代を迎え消費が増えない中で、各企業が一定のパイを奪い合っている状況が続く。東椎路に大型商業施設が出来、そこに一定の売り上げが集まり、雇用が生まれたとしても、その周辺地域のスーパー、小売店が閉店に追い込まれるだけで、地域全体の需要が増加するわけではない。
また、三菱地所が経営する御殿場アウトレットを見ても、進出した外部資本が儲けているだけで、駅周辺の商店街ではスーパー、小売店の閉鎖が加速し、御殿場市内への恩恵は全くない。
先頃、商店街連盟に加わる各商店街の代表が、この問題について危機感を抱き、栗原裕康市長と面談したようだが、長年、沼津の発展を支えてきた商業者の死活問題として深刻に検討すべきだ。
ただ、東椎路への大型商業施設出店問題として反対を唱えるのであれば、多くの市民の賛同を得るのは難しいかも知れない。
しかし、沼津駅南北交通問題の解決など、これからの沼津の抜本的まちづくりに向けた建設的な議論を重ね、商店街としての自助努力を進めるならば、多くの支援を得られよう。沼津の街をなんとかしたいという声は、市内に満ち満ちているのだから。
バブル期に構想され、一歩も進められない鉄道高架事業にしがみつき、今また大きな流れに逆らう東椎路の大型商業施設誘致に踏み出そうとしている「JY沼津」=時代が読めない沼津=は、沼津市民にとって大きな悲劇と言わざるを得ない。(下石田)
《沼朝平成25年12月5日(木)投稿記事》
2013年11月30日土曜日
知事「腹案ある」
沼津駅鉄道高架事業 知事「腹案ある」
JR沼津駅付近鉄道高架事業で、川勝平太知事は29日、今後の方向性に関する「腹案がある」と述べ、沼津市やJR貨物との意見集約に向けた環境整備を急ぐ考えをあらためて強調した。県庁で沼津駅の高架化を実現する市民の会から事業推進の要望を受けた後、記者団の質問に答えた。
知事は腹案の具体的内容には踏み込まなかったが、現計画で貨物駅移転先となっている同市原地区の津波対策などを「少し心配している」と指摘し、同地区の防災力向上も含めて事業を考えていくことを示唆した。
市民の会は住民参加型合意形成作業(PI=パブリックインボルブメント)の終了を受け、早期に関係機関と協議を済ませ、事業着手するよう訴えた。知事は「要望は真正面から受け止めた」と応じた。JR貨物幹部とも個別に面会して協力を求めていると説明し、「意見を十分に集約して(PIでまとめた代替の)4案から1案に絞っていく」とした。
《靜新平成25年11月30日(土)朝刊》
JR沼津駅付近鉄道高架事業で、川勝平太知事は29日、今後の方向性に関する「腹案がある」と述べ、沼津市やJR貨物との意見集約に向けた環境整備を急ぐ考えをあらためて強調した。県庁で沼津駅の高架化を実現する市民の会から事業推進の要望を受けた後、記者団の質問に答えた。
知事は腹案の具体的内容には踏み込まなかったが、現計画で貨物駅移転先となっている同市原地区の津波対策などを「少し心配している」と指摘し、同地区の防災力向上も含めて事業を考えていくことを示唆した。
市民の会は住民参加型合意形成作業(PI=パブリックインボルブメント)の終了を受け、早期に関係機関と協議を済ませ、事業着手するよう訴えた。知事は「要望は真正面から受け止めた」と応じた。JR貨物幹部とも個別に面会して協力を求めていると説明し、「意見を十分に集約して(PIでまとめた代替の)4案から1案に絞っていく」とした。
《靜新平成25年11月30日(土)朝刊》
2013年11月29日金曜日
都市計画「拡散」から「集約」へ
都市計画「拡散」から「集約」へ
県の区域マスタープラン策定方針
県土の再構築提示
※都市計画区域マスタープラン 長期的視点で都市の将来像を示す指針的な役割を持つ。2000年の都市計画法改正で都市計画区域ごとの策定が都道府県に義務付けられた。静岡県には静岡や浜松、東遠広域、東駿河湾広域、岳南広域など20区域のプランがあり、おおむね5年ごとに見直す。実現に向けて政策的にまちづくりを誘導するには総合計画や福祉、産業、防災面の各種庁内計画との整合性も不可欠となる。

くらしや産業の中核を成す都市の将来像を示す「県都市計画区域マスタープラン」の次期改定作業に向け、県は、目指す都市構造を従来の「拡散型」から「集約型」へ転換させることを柱とした策定方針を固め
た。密度の高い高度な都市機能を周辺地域の開発や地域振興へと波及させる従来の戦略を抜本的に転換。分散した都雨機能を交通ネットワークでつなぎ、集約化することで、均衡ある県土の発展を目指す。
人口減少や雇用環境の変化、東日本大震災を受けた地震・津波対策など、近年の急激な社会環境の変化が背景にある。再構築する県土の姿を全市町や県民に提示し、実現に向けた政策展開や住民参加のまちづくりを促す。県は、この方針に基づいて県内全20区域のプランの見直しを本格的に進め、2015年度末までに完了させる。
都市の拡散への対応ではこれまで「コンパクトシティー」の概念があった。ただ、県都市計画課は「中心部へ向けて都市の範囲を凝縮する志向となり、相対的に人口密度が下がる周辺や郊外のフォローがされてこなかった」と指摘する。
集約型都市構造では都市範囲(市街化区域や用途地域)の無理な縮小はしない。中心部周辺や郊外エリアはむしろ、地域特性を生かすことに重点を置く。これらを交通ネットワークで結び、人々がどこに住んでも都市機能の恩恵が受けられるよう戦略的開発を図る。
具体的には、中心部は公共施設や商業施設を集めてにぎわいづくりに努める。周辺市街地では空き地などの活用でゆとりある居住空間を創出する。郊外は農林業を中心とした地場産業の育成を重視するとともに、従来からの集落の拠点性を高める。
津波リスクがある沿岸部や新東名高速道沿線の開発は内陸のフロンティアを拓(ひら)く取り組みと連動した土地利用を目指す。
同課は「県土構造の特性を生かして都市や農村、漁村が育んできた個性や魅力を強化しながら、必要のない都市の広がりを抑えるのが目的」としている。
転換の背景に危機感
県が都市計画の方向性を転換する背景に、「社会環境の変化に対応していかなければ将来にわたって魅力ある県土を残せない」(都市計画課)との強い危機感がある。
戦後、県内でも人口の増加や自動車の普及に伴って郊外に住宅団地や大型商業施設が整備され、市街地が拡大し続けた。中心部は空洞化し、虫食い的に市街地化する農村の魅力低下が顕著になった。
県内人口は減少に転じ、試算では、30年後に最大68万人減る。都市中心部では空き店舗や空き家が増加する一方、郊外では車が運転できない高齢者が増え、税収減で都市の維持が困難になるといった問題が懸念される。
ただ、地価の安さなどから郊外への開発要求は依然として強いのが実情。同課担当者は「集約型都市構造の必要性はまだまだ理解されていない」と認めた上で、周知活動が重要になると話す。
実現には市町との連携も欠かせない。集約型まちづくりで先行する富士市や中心部のソフト施策が効果を上げている藤枝市などの事例も発信し、「各市町の取り組みを支援したい」(同課)という。
《靜新平成25年11月29日(金)夕刊》
県の区域マスタープラン策定方針
県土の再構築提示
※都市計画区域マスタープラン 長期的視点で都市の将来像を示す指針的な役割を持つ。2000年の都市計画法改正で都市計画区域ごとの策定が都道府県に義務付けられた。静岡県には静岡や浜松、東遠広域、東駿河湾広域、岳南広域など20区域のプランがあり、おおむね5年ごとに見直す。実現に向けて政策的にまちづくりを誘導するには総合計画や福祉、産業、防災面の各種庁内計画との整合性も不可欠となる。

くらしや産業の中核を成す都市の将来像を示す「県都市計画区域マスタープラン」の次期改定作業に向け、県は、目指す都市構造を従来の「拡散型」から「集約型」へ転換させることを柱とした策定方針を固め
た。密度の高い高度な都市機能を周辺地域の開発や地域振興へと波及させる従来の戦略を抜本的に転換。分散した都雨機能を交通ネットワークでつなぎ、集約化することで、均衡ある県土の発展を目指す。
人口減少や雇用環境の変化、東日本大震災を受けた地震・津波対策など、近年の急激な社会環境の変化が背景にある。再構築する県土の姿を全市町や県民に提示し、実現に向けた政策展開や住民参加のまちづくりを促す。県は、この方針に基づいて県内全20区域のプランの見直しを本格的に進め、2015年度末までに完了させる。
都市の拡散への対応ではこれまで「コンパクトシティー」の概念があった。ただ、県都市計画課は「中心部へ向けて都市の範囲を凝縮する志向となり、相対的に人口密度が下がる周辺や郊外のフォローがされてこなかった」と指摘する。
集約型都市構造では都市範囲(市街化区域や用途地域)の無理な縮小はしない。中心部周辺や郊外エリアはむしろ、地域特性を生かすことに重点を置く。これらを交通ネットワークで結び、人々がどこに住んでも都市機能の恩恵が受けられるよう戦略的開発を図る。
具体的には、中心部は公共施設や商業施設を集めてにぎわいづくりに努める。周辺市街地では空き地などの活用でゆとりある居住空間を創出する。郊外は農林業を中心とした地場産業の育成を重視するとともに、従来からの集落の拠点性を高める。
津波リスクがある沿岸部や新東名高速道沿線の開発は内陸のフロンティアを拓(ひら)く取り組みと連動した土地利用を目指す。
同課は「県土構造の特性を生かして都市や農村、漁村が育んできた個性や魅力を強化しながら、必要のない都市の広がりを抑えるのが目的」としている。
転換の背景に危機感
県が都市計画の方向性を転換する背景に、「社会環境の変化に対応していかなければ将来にわたって魅力ある県土を残せない」(都市計画課)との強い危機感がある。
戦後、県内でも人口の増加や自動車の普及に伴って郊外に住宅団地や大型商業施設が整備され、市街地が拡大し続けた。中心部は空洞化し、虫食い的に市街地化する農村の魅力低下が顕著になった。
県内人口は減少に転じ、試算では、30年後に最大68万人減る。都市中心部では空き店舗や空き家が増加する一方、郊外では車が運転できない高齢者が増え、税収減で都市の維持が困難になるといった問題が懸念される。
ただ、地価の安さなどから郊外への開発要求は依然として強いのが実情。同課担当者は「集約型都市構造の必要性はまだまだ理解されていない」と認めた上で、周知活動が重要になると話す。
実現には市町との連携も欠かせない。集約型まちづくりで先行する富士市や中心部のソフト施策が効果を上げている藤枝市などの事例も発信し、「各市町の取り組みを支援したい」(同課)という。
《靜新平成25年11月29日(金)夕刊》
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